フィンランド北部、北極圏ラップランドが舞台のロシア映画。
正月に念願のラップランドへ行くので、その予習も兼ねて鑑賞。
でもさー、もう止めようよ、こういうの。
ムーミンの国やから?
サンタクロースの故郷やから?
フィンランドってだけで、メルヒェンチックなイメージで売り込むのは
あまりにもワンパターンじゃ無くって?
フライヤーやサブタイトルからは、
乙女な香りがびしばし漂ってきますが、
実は結構硬派な戦争映画。乙女さん達はここで違和感。
ところが、この『ククーシュカ』、
「予想とは違ったけど、かなり面白い」作品なのでした。
森林限界より北の、豊かだけれども北極圏の自然に、
フィルムに特殊な処理をしたとかいう、くすんだ色調の効果もあって
大戦末期の重苦しい空気が伝わってきます。
とくに冒頭30分は、かなりタフな戦争映画の雰囲気。
敵対するフィンランド兵とロシア兵が、
先住民族・サーミ人の女性の家に転がり込んでの物語。
ポイントは、「三人が三人とも、互いのコトバが分からない」ところ。
一緒に暮らしてりゃ、少しくらい覚えたって良さそうなもんですが、
とにかく物語の大半を、意思疎通が出来ないまま進んで行きます。
この不条理な舞台劇みたいなシュチュエーションの下、
もちろん当事者間には誤解満載、とことん暗い物語の設定に反して、
唯一三人のコトバが分かる観客の立場からは、
むしろコミカルですらあります。
ところが更に面白いのは、この三人、
言葉は通じないままで、表面的なところは誤解山積みなままで、
それでも深いところで通じ合ってしまうところ。
異文化間コミュニケーションの常識であった
「話せば分かる」とか、「平和のために語り合おう!」とか、
そんなところの更に上を行くロシア人のセンスに、
思わずニヤリとさせられました。
『ククーシュカ』、滋賀会館シネマホールで
今週末10日(日)まで上映中です。
奇しくも、似たようなシュチュエーションの韓国作品
『トンマッコルへようこそ』も上映中。
洋の東西を問わず、笑顔が一番つよいのかも。