エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

蟻の穴から堤の崩れ

2024年01月21日 | ひとりごと
自分を戒める教訓 蟻の穴から堤の崩れ
★ プロローグ・・・
昨年から依頼されていた知人S宅の庭にある大木の伐採を先日行って来た。
樹齢50年を越えるスモモの木で樹高は10m前後、幹の直径も50㎝はある大木だった。「近年
樹木の腐れが目立ちスモモの実も生らずに落葉した葉の始末にも苦労している」と言うのが依頼の
理由だったが、大木なだけに切る方向は限られた。倒せる方向は一つだけでその方向に住宅へ繋が
る引き込み線があり、直接倒す事は出来なかった。そこで考えたのは、木に登って引き込み線に支
障する枝を切る「特殊伐採」と言われるもの。YouTubeを何度も見ながらイメージトレーニングは
したが、元々の高所恐怖症の私だから数メートル登った所で足が止まった・・。身体も身軽ではな
くいきなり本番は無理だと悟る。次の案は「引き込み線を外す」だった。電力会社へ連絡を取り、
「伐採時に引き込み線が支障するので一時的に線を外せないか?」と依頼主から問い合わせて貰う
と「出来ます」という回答でしかも無料だという。ただ、作業は下請け会社の日程の都合もあるの
で調整が必要だった。その日が伐採した先日の事である。

快晴でポカポカ陽気で予想最高気温は3℃で作業日和だった。業者が来る前に伐倒する方向の除雪
を除雪機で済ませた頃、約束の時間に高所作業車2台と警備の車1台、作業員4名で到着した。

作業が始まると、あっという間に引き込み線を外していた。流石プロの仕事ぶりと感心して眺める
だけだったが、ふと倒す方向に細い木がありこれを先に切る事にした。電線の作業には影響なく切
る事が出来た。


【before】

1/17 伐倒する前のSさんから依頼のあったスモモの木 (右側の引き込み線が伐採に支障していた)

★ 伐倒は見事に成功・・・
引き込み線を外す作業を終えたと作業員から合図があった。
いよいよ私の出番。
依頼主はじめ、作業員たちも安全な場所に退避して伐倒作業を見守る・・。
いつものように「受け口」の切り込みを入れ倒す方向を慎重に確認する。そして、「追い口」の歯
を入れ切り出す。受け口が少し大き過ぎたが方向は大丈夫と確信、慎重に追い口を入れると大木が
少しずつ傾き動き始める・・。

「ドスン~」と響き渡る重い震動が伝わり木は倒れた!
予定通りの方向に倒れ、見事に成功と自分で言う・・笑
依頼主も感動したようで笑顔で感謝の言葉を掛けてくれた・・。正直「ホッとした」気持ちだった。

50年以上前に身内が植えたスモモの木が倒れ、想像以上にその大きさを知る。幹から二本に別れ
た太い枝、そこから何本もの小枝が広がっていかにも大木と言える風格があった。大事に見守って
来た家の前の大木だったが、自分たちも高齢化となり支障となる木を切る決断は複雑だったかも知
れないと察するところだ。でも一つの仕事を無事終える事が出来て良かったと安堵する。

電力会社の作業員は、伐倒が終わると新しい引き込み線を繋ぐ作業を開始する。これもまた手際良
く作業を終えた。作業に掛かる時間は1時間もあったかどうかだった。


【after】

伐採した後の現場・・・新しい引き込み線も繋がれている。

★ 蟻の穴から堤の崩れとは・・・
たかが蟻の穴ぐらいと思って油断していると、堅固につくった堤防でも崩れる事がある。
些細 (ささい) な欠陥がもとになって、天下の大事を招くこともあるいうたとえ。なのだが、まさに
やっちまったと自分の馬鹿さ加減にこのたとえで自分を戒めた。

拙ブログにご訪問された方は「なんのこっちゃ~」と思うかも知れない。

実は、ボッケに入れていたスマホを紛失してしまったのです・・・。

作業前に撮ったbeforeの写真。この時すでに作業服に着替えていてスマホを仕舞えるポケットが簡
単に開けられない状態だった。なのに強引にポケットのジッパーを半分くらい開けてスマホを押し
込んだ気がする・・。 (スマホはポケットから半分出ていた状態・・だったと思う)
その状態を気にする事なく、車の移動をしたり、除雪も伐採もしていてそれでもまだ気が付いてい
なかった。

依頼主の奥さんが倒した木の幹をバックに夫婦で写真を撮って欲しいと奥さんの携帯で撮ってあげ
次に自分のスマホでも撮ろうと入れていたボッケに手を当てると何も反応が無く、今度は真剣に探
し始めた。作業着も脱いで体全体も探って見たが、スマホは見つからなかった・・・。
作業していたどこかに落とした事に間違いはないが、もし倒した木の下なら先ず枝払いをしなけれ
ばならない。その前に探せるところはくまなく探し、依頼主のご夫婦も一緒に探してくれた。
探す場所は、ほぼ雪の上でもし中に入ってしまえば容易ではない。
スマホに電話を掛けて貰うと呼び出ししていたので、もし木の下敷きになってても破損はしていな
いと少し安堵するも受信音は小さくしていたのでまったく音は聞こえなかった。次は、GPSによ
るスマホ捜索を試みると、確かにこの辺りを示しているが50m前後の誤差がありピンポイントで
はなかった。

探しても探しても見つからず時間だけが過ぎて行く。安全に倒せて喜びたい依頼主も倒した本人が
スマホを失くしたと知れば、喜んでもいられない。本当にご心配を掛けてしまったドジ野郎である。


★ 過去の失敗も教訓にならず・・・
スマホ紛失事件と水没事件は、過去に3回あった。そして今回は4回目。
夕方まで探し続けたが見つからず、捜索を諦めて明日再開する旨を伝えて帰宅した。帰宅して妻に
報告すると「まだ明るいからもう一度・・」と再びSさん宅へ。ああだこうだ一日の行動を振り返
りながら、再度の捜索。でも日没になって帰宅する。

自宅のパソコンで再び捜索するとやっぱりある場所は依頼主の敷地内を示し、誤差がある事も表示
された。ただ、スマホのバッテリー残量が分かる事と、もしマナーモードでも音を出して呼び出し
が出来る事が分かった。更に電話をするとスマホの受信画面は点灯し光を放つ事も思い出し、なら
ばと三度Sさん宅へ走る。バッテリーはまだ75%の残量があった。暗くなったSさん宅に立って
妻が電話を掛ける。呼び出し音が鳴る・・・が、音も光も見付ける事は出来なかった。

もしバッテリーが切れたら完全にアウトの可能性が高まり、捜索は一層難しくなる。不安と焦りで
いっぱいだったが、どうする事も出来ない苛立ちもあり、眠れぬ一夜を過ごした。

そして、翌朝すぐに再びパソコンで捜索するとバッテリー残量は30%に減っていたが、死んでは
いなかったので少し安心する。呼び出し音もあり敷地内にある事だけは確信した。幸い翌日も快晴
で風も無く捜索日和。タイムリミットは午前中と読んで8時過ぎにSさん宅へ。

眠れぬ夜に考えた場所から捜索開始。
先ずは、昨日探していない場所がありそこから丁寧に雪を掻いて探し始める。妻は昨日探した場所
が気になると言って、伐倒した木の下付近を再捜索。しかし・・・そこでは見つからなかった。

落ち着いてもう一度昨日の行動を振り返って、落としそうな行動がどこだったのか、そしてまだ探
していない場所はどこかと範囲を絞る事にした。もう一つ、車のAVと携帯はいつもBluetoothで繋
がっていて音楽はほとんどBluetoothで聴いている。音楽を掛けたまま携帯を持って車から離れると
電波の受信が出来なくなり車内の音楽が止まる。つまり、もし車の近くに携帯があればBluetoothは
自動的に接続し音楽が聴ける状態になるし、近くに無ければ接続にならないと言う事である。
微動しながら接続可能の場所を特定して行った・・・

そして、とうとう見付けた!

そこは、伐倒した木の下でも除雪した庭の奥でもなかった。
依頼主の隣に住む甥っ子の玄関前に車を移動して降りた場所。松の木の下で葉の上に積もった雪が
落てスマホを隠していたのだった。一度は探した場所だったが、落雪した雪の下になってるとは思
いもつかなかった。その近くで携帯に電話をした時、微かに受信音が聞こえその音に目を凝らして
耳を澄ます。確かに自分が設定した受信音と確信する。すぐ妻チーヤンを呼び戻す。

「あったぁ~」

涙が出るほど嬉しかった。今日雪が降ってなくて良かった。すっかり心配を掛けてしまい申し訳な
い。でも無事見つかって今度はSさん夫婦と一緒に喜べた。

何気なく扱っていた「携帯」だが、失って見るとどれだけ困るのか痛感した。こんどこそはこれを
教訓に大切なものとして扱う事にします・・・。

そんなエピソードでした。








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