もとなりくんの「今週の政治 ‘とんでも’」

日本の経済、安保危機を打開する力は、国民の結束と強い政治しかない

変調「安倍外交」! 白けた「日米韓首脳会談」、慰安婦問題での無節操な譲歩、‘御用聞き外交’…

2014-03-29 22:13:39 | 政治
2014年3月29日
世界中を精力的に飛び回る「地球儀外交」で、対中包囲網の構築に成果を上げ、「積極的平和主義」で中韓北の牽制にも成果を出してきた安倍外交が、ここに来てにわかに変調となった。
オバマ米大統領の仲介による3カ国の首脳会談が25日、オランダ・ハーグで開かれた。
「会談を前に安倍首相と朴氏は、オバマ大統領が見守る中で、握手を交わした。 だが、朴氏は硬い表情が目立ち、安倍首相への警戒感は解けなかったようだ。 「お会いできてうれしい」 日米韓の首脳が横並びに座った会談冒頭。安倍首相は朴氏の方を見ながら、韓国語で語りかけたが、朴氏は斜め下を向いたまま、目を合わせようとしなかった。 朴氏は、「(会談を)主催した米国の苦労が大きかった」とオバマ氏への感謝を述べた。しかし、安倍首相に向けた言葉はなかった。取材が許可された冒頭の5分間もぎこちない雰囲気に包まれた。」(27日 読売)。

各紙の論調は、就任から1年以上経ってもテーブルに着けなかったのだから、なにはともあれ会談にこぎつけたことをよしとする、ものが主流である。確かにこの一年の経緯を踏まえ、表面だけを見れば、一定の成果であるように見えるだろう。しかし、実態はただ一堂に会したというだけであって、本来あるべき姿である「日米韓の強固な連携体制」の構築には程遠く、とても成果とは言えない。しかも、たったこれだけのことのために、日本は「慰安婦問題」での大きな譲歩をしており、国の名誉と国益を更に損なう可能性が大きい。会談後に安倍首相が強調したように「未来志向の日韓関係に発展させていく第一歩」にできれば良いのであるが、現状ではその見通しは限りなく暗い。

《「河野談話見直し」否定は、これまでの安倍政権の方針とも、国益や国民の意向とも矛盾し、明らかな変調外交だ!》
会談の実現に向け、首相は慰安婦問題をめぐる河野談話を「安倍内閣で見直すことは考えていない」と国会で明言した。 首相答弁には一部から強い批判が起きた。安倍首相は第一次内閣で、河野談話が認めたとされている慰安婦の「強制連行」について、その事実は確認されていないことを閣議決定しているし、またこの2月までは、河野談話の検証結果次第では見直しもあり得るとの意向を強くにじませていたし、また産経の世論調査でも国民の6割が河野談話を見直すべきとの結果であり、批判が出るのは当然のことである。こうした情勢を受けて、自民党総裁特別補佐である萩生田光一衆院議員は、談話の検証で新たな事実が出てくれば「新たな政治談話を出すことはおかしなことではない」と語った。これは極めて正当で、当然のことである。ところが、菅官房長官は、このようなことはあり得ないと即座に否定した。これは安倍政権のこれまでの流れや、国民の意向にも矛盾する内容であり、結局安倍首相は、こうした問題を犠牲にしてまで、米国と韓国に譲歩し、三者会談の条件を整える方向に舵を切ったということなのだろう。 一方、朴大統領は、この安倍首相の譲歩決断を知りながら、わざわざ会談の直前にドイツ紙のインタビューに答え、歴史問題での安倍政権の姿勢を非難した。 朴大統領は今回、米国の顔を立てる形で会談に応じたが、日韓首脳会談については、依然、慰安婦問題での「誠意ある措置」などの条件を付けている。韓国政界、マスコミも、今回の会談が日韓の関係修復につながるかどうかは日本の今後の出方次第としている。つまり、彼らは、日本が韓国の要求に十分に譲歩しない限りは、関係回復はあり得ないと言っている(しかも、彼らの要求は際限なくエスカレートしてくるだろうことは、これまでの経緯からも明らかだ)。そもそも、慰安婦問題にしても歴史問題にしても、事実関係や国際法などからして日本が譲歩しなければならない理由は何もないし、また首脳会談ができず両国関係が悪化して困るのは日本よりも韓国なのだから、韓国の考えは常軌を逸しているとしか言いようがない。
ところがわが安倍首相は、どうしたことか、突然にこういうおかしな話にふらふらと引き寄せられてしまったように見える。結局は米国の圧力と韓国の毒気にやられたということか?! これでは宮沢・河野政権がやったことと大同小異であり、「ミイラ取りがミイラになった」ということでしかない。いくら靖国参拝で日本の主体性を世界に示してみても、慰安婦問題でこんなにへこんでしまうのでは、何をやっているのかわからない。とは言え、安倍首相も正気に戻ってくれることだろうから(強く望んでいるが、果たして…)、朴大統領のかたくなな態度が変わっていない以上、日韓関係の修復への道は遠い。結局、この会談はオバマ大統領の顔を立てただけの記念撮影会で終わる可能性が大きいのである。

《日本としては北対策に特化した3カ国体制で米国の立場に配慮し、日韓の問題は当事国間で協議していくことで、米国の理解を得ていくようにすべきである! つまり日本は、慰安婦問題、歴史問題については、現状ではもう韓国に譲歩はできない旨をはっきり米国に伝えるべきだ!》
こんなことで喜んでいるのは、米国ぐらいのものではないか。確かに、米国は3カ国の協力体制がないと、困るはずだ。日本としても日米同盟は重要だから、友邦、同盟国として米国の立場にはできるだけのことはする必要がある。
「日米韓首脳会談の結果について、オバマ米大統領に同行している政府高官は「不和はなく3カ国関係の重要性を再確認した。連携を強化する機会になったと確信している」と評価した。 米政府は歴史認識問題での日韓対立を覆い隠しつつ、対北朝鮮という共通項に焦点を絞り「結束」を演出しようと腐心してきた。 今回の会談を土台に、オバマ大統領は4月の日韓訪問時の首脳会談を「より生産的なもの」にし、日韓の“雪解け”と米国との連携強化を促進したい考えだ。 米政府が関係改善を希求する理由は、「アジア太平洋地域における米国の重要な役割は、(日米韓の)同盟の強さにかかっている」というオバマ大統領の言葉に集約されている。 アジアに安全保障の重心を移すリバランス(再均衡)戦略を進めるうえで、米国にはフィリピン、オーストラリアを含む同盟各国とのネットワークと連携の強化が、死活的に重要となっている。 しかもオバマ政権は、アジアで東・南シナ海における中国の覇権主義と、北朝鮮の核の脅威に直面しているのみならず、ウクライナでロシアの帝国主義と対峙(たいじ)するという「2正面」を強いられている。…略…」(27日 産経)。

3首脳がハーグで顔を合わせているまさにその時に、北朝鮮は中距離弾道ミサイルを日本海に向けて発射した。日米韓の連携が重要なのは明らかだ。にも関わらず、韓国は日本と協調して北に対抗することを嫌がっている。ただ、今回の会談で話し合われたのは、主に北朝鮮の核・ミサイル開発への対応だ。3人の首脳は、連携を強化していくことで一致した。これは形ばかりの一致で、中身がないのであるが、とにもかくにも、北対策では可能性がゼロとは言えないので、この点では米国の国益にも資することができる。
しかし日本そして米国が目指している3カ国連携の目的はこれだけではない。中国は、軍備を増強し、東・南シナ海で領土や海洋権益の拡大を図る動きを見せている。
中国が、ロシアのクリミア編入と同様の冒険主義に走らないよう抑止するには、日米韓が「力による現状変更」を看過しないとの共通認識を持ち、中国に責任ある行動を促すことが重要であり、本来の姿である。しかし、韓国は、日本と協力して中国と対抗するどころか、むしろ日本が中国に攻撃されることを望んでいる(?)のだから、この問題で3カ国連携は望むべくもない。米国にもこのことをしっかり理解させることが必要だろう。さもないと、米国は韓国を味方につけるために、日本に更に理不尽な対韓譲歩を迫ってくるからである。日本の名誉や権益を損ねてまで韓国を取り込むべきではないし、またいくら韓国にすり寄ってみても、すればするほど彼らは中国との連携を強めるだろう。日本は中国の侵略の野望に対抗する体制を強化することを急ぎ、他方では米国は彼らの国益を守るために日本防衛に立ち上がらざるを得ない。
今回の日米韓首脳会談では、いわゆる従軍慰安婦や歴史認識の問題は議題とならなかった。米国もこれは調整が難しく議題にすべきでないと考えている。こうした懸案は、やはり日韓間で対話を重ね、接点を模索するしかない。この意味で、上述のことは、今回の会談、そして米国が考えていることと、大きな齟齬はないはずである。

《政府・外務省は、百害あって一利なしの姑息な‘御用聞き外交’を止めよ!》
元慰安婦などの個人の賠償問題は、日韓国交正常化時に解決済みで、日本も安易な譲歩はできない。にも関わらず、次の外務省の動きは不可解と言うよりも、姑息な‘御用聞き外交’であり、日本が従来行って来た「土下座外交」と本質的にはあまり変わらない。
「従軍慰安婦問題で、外務省の山本恭司地域政策課長らが、韓国の元慰安婦の女性らが共同生活するソウル郊外の支援施設「ナヌムの家」関係者と17日に面会、女性らの要望を聴いていたことが27日、韓国側関係者の話で分かった。ナヌムの家とは別に女性らを支援している「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」は同日、北朝鮮の慰安婦問題関連団体と28~30日に中国・瀋陽で同問題に関する討論会を開くと明らかにした。 挺対協は日本政府に強硬な抗議をしてきた団体で、北朝鮮側と日本への責任追及を強めるとみられる。 日韓は外務省局長級協議を4月中にも開く方針。山本課長らは、これまでの日本政府の取り組みを説明したといい、日本側には韓国が歴史問題で最大の懸案と捉える慰安婦問題で当事者の要望を改めて確認する目的があったとみられる。 韓国日報によると、ナヌムの家側は山本課長らに日本政府が慰安婦動員に対する法的責任を認め安倍晋三首相が国際社会に謝罪することを求めた。」(共同 27日 産経)。

一体何のために、のこのこ韓国へ出かけてまで、元慰安婦の要望を調べるのか? 2国間の請求権問題は日韓基本条約で、完全かつ最終的に解決済みであり、また、日本側の特別な配慮としての元慰安婦への人道的支援事業もすでに完了している。慰安婦の問題はもうすでに完全に韓国の国内問題である。
そもそも、元慰安婦の意向など聞いてみても、何の意味もないことはこれまでの経緯から明らかである。と言うのも、人道的な支援事業として村山元首相のお詫び文と、支援金の支給を行ったとき、それを多とした元慰安婦が、挺対協に脅され、和解に応じられなかったり、一旦は和解金を受け取った元慰安婦がやはり脅され、和解を拒否し金を返却してきたりした例が少なくなかった。とにかく挺対協や、政府の意向などが最終的に強く働くので、意味がないのである。それをこんな形でのこのこ出かければ、これが日本の問題であり、日本政府は、この問題に政府として取り組む腹づもりがあるとでも言わんがばかりの態度となる。
ナヌムの家側は山本課長らに「日本政府が慰安婦動員に対する法的責任を認め安倍晋三首相が国際社会に謝罪する」ことを求めたと言うが、結局この言葉を拝聴するために出かけたとしか言いようがない。日本がこんなふざけた要求を受け入れられるはずはない。外務省のこの行為は、完全に日本の名誉を失墜させ、日本の国益を著しく損なうものであり、国民への背信行為だ。安倍首相、そして政府・外務省には、一日も早く本来のあるべき外交に立ち戻ってもらいたいものだ。

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