故郷は近くにあっても…

同窓会の翌日
日曜日は神戸の鵯越にでかけて墓参り
新開地駅に隣接するスーパーで
花と父も兄が好きだったビールを買い求め
タクシーで墓苑まであがる

夏草が墓のあちこちに茂っていて
まず、草むしり
とげのある植物があったようで
強引に引きぬこうとする
指にかすり傷を負わす
二つの墓で同じ作業を繰り返すので
汗が流れてとまらない
でも、墓に両手をあわせると
どこか清々しい

待たせていたタクシーで新開地まで戻り
阪急電車に飛び乗った
小生の生まれ育った町、西宮北口
阪神大震災で西宮北口駅前から
北側は大きな被害にあった
小生の生家も建物は地震には耐えたが
耐えただけでその後、取り壊された



駅から北側の一帯は
再開発が行われて
道路も整理統合されて
小生が子供の頃に過ごした町とは
一変してしまった

丸武のてんぷら屋のてんぷらが好きだった
震災後、しばらく続けたが
息子さんも亡くなりもう廃業したとのこと



昔の市場と商店街にあった店の中で
お鮨屋の「高辰」だけが
駅に隣接したビルの中で営業していた



45年振りに来たと大将に伝え
ビールとひらめのお造り



昔話に花をさかせ
その45年前の「高辰」の1人前を頼んだ



伊達巻、太巻き、そして握り
涙が出てくるほど懐かしい
大将も喜んでいる

焼き穴子とたいらぎを握ってもらった



穴子は焼いた香ばしさがまず広がり
固くも柔らかくもない穴子の身と
上品な詰めタレが長年よりそった夫婦のように
ぴったりと合って、旨味を醸成してくれた
「もう1杯ビールを飲んで行っておくなはれ」と
2杯目をサービスしてくれた

店を出てすっかり変わってしまった
生家のあったあたりを回ったが
昔からの名前の表札があったのは1軒のみ



阪急電車の踏切だけが当時の面影を残していた
故郷は心の中にしかないんだと思うと
こみあげてくるものがあった

by よしの ふくすけ

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


« 50年目の同窓会 ブッパとは? »


 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。