エイプリルフール

こんな習慣、いつからどこで始まったのか…
嘘をつける日、4月1日。

1度だけ、嘘を真に受けて、完璧に騙されたことがある。
イスラム教では教義に反するので、この習慣がないというのに…。

1982年か83年の4月1日のこと。
当時はアブダビに駐在していて、ある工業製品の代理店主(UAEローカル=現地人のお金持ち)とは個人的にも親しく、家族ぐるみの付合いだった。

その日、代理店に出かけて商談を終わったころで、こんな話をしてきた。
「ふくすけよ、今朝、コーニッシュを通ったか?」
「いいや、何か?」
「ヒルトンホテルの前が凄い人だかりだから、車から降りてみたら、大きな鯨が打ち上げられていたよ」
「えっ! それは凄い。どのくらいの大きさの鯨だった?」
「30mはあったな。 きっと、まだ片付けられていないだろうから、今からでも見れるよ。行ってみたらどうだ」
「行く、行く!」

その事務所から電話を借りて、妻に今聞いた話をかいつまんで説明して、フラットの前で待ってろと伝えた。
ワクワクしながら事務所を後にして、妻を乗せてコーニッシュに向かった。

「凄いな、こんなところに迷い込んだ鯨がいるんだ…」
「食べるのかな?」
「明日、魚スークに行ったら、切身で売ってるかも」

てな話をしながら、コーニッシュを走りヒルトンホテルに向かったが、人だかりも海に鯨も見えない。
当時、ヒルトンホテルには日本料理店が店を出していて、日本人スタッフもいたことから、ホテルの日本人に、代理店主との会話を伝え、どこだろうと訪ねた。
誰も、鯨のことなど知らずきょとんとしていたので、狐につままれたような気持ちで、また、代理店主のもとへ車を向かわせた。

「そうか、もう片付いたんだ…早いなぁ!」

騙されたことを知ったのは、子供たちが日本人学校から帰ってきてから。

「それって、エイプリルフールだよ!」
「む…!!;;」

by よしの ふくすけ
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