弁護士川原俊明のブログ

川原総合法律事務所の弁護士活動日記

国選弁護の問題点

2007-10-12 22:07:33 | 日記・コラム

富山地方裁判所高岡支部で、婦女暴行・同未遂事件の再審裁判で、被告人の男性に無罪判決が言い渡されました。
被告人の男性は、すでに懲役3年の実刑判決を受け、刑務所で服役した後のことです。
当然のことながら、刑事事件には、弁護士が刑事弁護を担当します。
この男性、接見に来た国選弁護人には、無罪であることを主張していたそうです。
にもかかわらず、刑事裁判では、起訴事実を認め、そのまま有罪に甘んじたそうです。
そこに、男性の態度にどのような変化があったのでしょうか。
無罪を主張された国選弁護人が、なぜ、裁判で有罪を認める弁護をしたのでしょう。
国選弁護に問題がない、といいきれるでしょうか。
今、大阪弁護士会では、国選弁護案件は、大阪所属弁護士に、すべての弁護士に、順繰りに回して担当させています。
しかしながら、すべての弁護士に対し、勉強のため、刑事弁護を忘れないため、という口実のもとに、国選弁護を担当させて、本当に、被告人のためになっているのでしょうか。
国選弁護人の費用が安い、という問題だけではありません。本当に、刑事事件はどうあるべきか、ということを真剣に考える弁護士が刑事弁護を担当すべきではないでしょうか。
私選と国選と何ら代わりがない。
この命題は、そうあるべきでしょう。
しかし、国選弁護を担当する弁護士が、関わりたくもない事件とみなして、弁護を担当したらどうなるのかは、目に見えています。
もちろん国選弁護人になった多くの弁護士は、熱心に事件を担当しています。しかし、刑事弁護をしたくないと思っている弁護士には、国選を回すべきではないのです。
民事事件も刑事事件も、どんな仕事でも、熱意のある仕事をすべきですし、熱意のある弁護士に事件を依頼すべきでしょう。
適当に仕事をこなす弁護士。サラリーマン化した弁護士。
そんな弁護士は、依頼者にとっても、社会にとっても決して良くありません。

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4 コメント

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国選も大変ですね (諭吉愛子)
2008-06-21 17:12:09
国選で主婦の万引き裁判がありましたが,醤油が勝手に手提げに入ってきたと代理人が言うて,検察が失笑し,裁判官がええ加減にせいっ!と言い,さらに代理人が,ほなって言えって言うたもん,と言い,傍聴人が吉本こけ,というのがありました。
このときの代理人は,現在の大阪府知○。
ご本人もテレビでこれを言うてたみたいです。
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安易な批判は止したほうが・・・・ (清高)
2008-06-21 17:39:08
「無罪を主張された国選弁護人が、なぜ、裁判で有罪を認める弁護をしたのでしょう。」→弁護士に直接聞いたらどうでしょうか。推測するに、①証拠を照らし合わせたら、無罪の自信がなかった。②それならば、弁護士を変えるべきだが、弁護士をしょっちゅう変えると、心証が悪くなる可能性がある(そういう判例を読んだことがある)。③無罪を争うことで心証が悪くなる恐れがあると考えた。

国選弁護については、自省も結構ですが、①国民の理解、②報酬の増額、など、弁護士以外の課題が多いのではないでしょうか。

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差別しているのは弁護士自身 (被差別国民)
2008-07-15 11:14:39
 サラリーマン化って、サラリーマンをバカにしてるの?まあ、日本には弁護士は少ないし、選択肢も少ないのが原因か。もっといればね、選べるし、いらなきゃ捨てればいいこと。医者も何も同じだね。まあ、使える者がのこりゃいいのかな。
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確かに向き・不向きはありますね (雪ママ)
2008-07-15 13:02:11
国選弁護について大阪弁護士会では順繰りに全ての弁護士さんが担当されているそうですが、やはり人間には向き・不向きがあるのではないでしょうか?報酬の多寡に関わらず、刑事事件に熱心な弁護士さんが国選弁護人として弁護してくださったら被告人は心強いと思います。無罪の人間に有罪判決が下り、なおかつ服役までしたという今回の事実を厳粛に受け止め、全国の弁護士会に今後の国選弁護のあり方について考察していただきたいです。
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