弁護士川原俊明のブログ

川原総合法律事務所の弁護士活動日記

韓国人が死亡した際の相続放棄の注意点

2012-02-27 15:46:39 | コリアン家族法
 相続放棄をすれば、初めから相続人でなかったことになりますので、被相続人(亡くなられた方)が多くの負債を抱えていた場合や、相続人の一人に全財産を相続させる場合などに利用されます。
 被相続人が韓国国籍の方の場合、その相続手続は、原則として韓国法によることになります(法適用通則法36条)。
 韓国民法では、相続の開始があったことを知った日から原則3か月以内(熟慮期間)に放棄することができ(韓国民法1019条1項)、韓国の家庭法院に申告することが必要となります(韓国民法1041条)。
 日本民法でも、原則3か月の熟慮期間(民法915条1項)及び家庭裁判所への申述が必要である(民法938条)点は同様です。
 しかし、日本の最高裁判所の判例では、一定の場合には、被相続人に財産(負債も含む)があると知ったときから熟慮期間が始まるのに対し、韓国大法院の判例では、財産(負債を含む)の存在を知らなければ熟慮期間が進行しない訳ではないとされており、起算点に違いがあります。韓国法の方が日本法より厳格ですので注意が必要です。
 被相続人が日本に住んでいた場合などは、日本の家庭裁判所に放棄の申述をすることができますが、韓国内の財産には効力が及びません。韓国内に財産がある場合には、韓国の家庭法院に対して相続放棄の申告をする必要がある点も注意が必要です。

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