江花和郎@ブログ

2005~2011年連合新潟会長を務める間書いたブログをその後も時々更新しています。

労働ビッグバン

2006年12月11日 | 労働・経済
先週は出張続きで席を暖める余裕もなくブログの間が空いたので、今日はその分少し長く書いてしまいました。

12月8日、労働法制見直しの審議会案が出てきた。
来年の国会は「労働法制国会」になると言われている。

労働契約法案は、不合理な解雇でも金でケリをつけることができるようにしようという制度の導入が提案され問題になっているが、それ以外にも雇用契約関係への労働組合の関与を否定しようとする考え方で貫かれている法案だと思う。

話題の「ホワイトカラー・イグゼンプション」は労働基準法の労働時間規制を外せというもの。
長時間労働、不払い残業、過労死が問題になっている時、法律違反を取り締まるのではなく、違反を「違反」でなくしちゃおうというわけだ。

メーデーは1886年、アメリカの労働者が8時間労働制を要求してストライキとデモンストレーションを行ったことが起源。
120年たった今、その8時間労働制が危機にさらされている。
資本主義初期段階における資本家の本質をむき出しにした労働者搾取の状況が再現されようとしている。
労働者は使い捨てでその命さえも大切に扱われない時代に逆戻りさせてはならない。

さらに問題なのが11月末の経済財政諮問会議で経団連の御手洗会長らが出した「労働ビッグバン」のペーパー。
労働分野における徹底した規制緩和と競争原理導入を求める内容だが、タイトルは「複線型でフェアな働き方に」だ。
労働組合も見くびられたものだ。
先週の地方連合代表者会議では、「連合はいつ怒るのか」という意見が相次いだ。

その労働ビッグバン提案の一部を紹介すると、例えば「雇用形態による格差をどう是正するか」の項で、「労働者派遣法は真に派遣労働者を保護するものになっているか」として検討課題に上げている。
大田特命大臣の記者会見によれば、その意味は、現行派遣法で派遣期間が1~3年過ぎると派遣先に直接雇用の義務が生じるために2年程度で契約を打ち切る(解雇)ケースがある、だからそうゆう制限をなくすのだと説明。
つまり、派遣労働者は一生そのまま派遣で働けということなのだ。

労働者派遣法は1985年に成立したが、当時私たちは大反対だった。
「小さく生んで大きく育てる」狙い通りに二度の改正で適用拡大が進み、「常用代替とはしない」という本来の趣旨がなし崩しになっている。

2007年は労働運動正念場の年になりそうだ。

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