江花和郎@ブログ

2005~2011年連合新潟会長を務める間書いたブログをその後も時々更新しています。

労働者派遣法改正

2010年03月24日 | 労働・経済
労働者派遣法が1985年制定(86年施行)以来初めて規制強化の方向で改正されることになりそうです。
「常用代替とはしない」という約束で専門的な13業務限定から導入されたのに、1999年原則自由化、2004年製造業解禁で約200万人(2008年常用換算)にまで増えた派遣労働者ですが、違法派遣が後を絶たず、ワーキングプアの温床となりました。

中間搾取する派遣元が悪いように言われますが、派遣先にこそ問題があります。
労働者をモノとして扱って使い捨てにしようという発想です。
人を雇うと責任が生じます。
責任を負わずに人を使おうということ自体がオカシイのです。

今回の主な改正点は、①常用型派遣にしていくため、登録型派遣・日雇派遣と製造業派遣を原則禁止にする、②違法派遣をなくすため、偽装請負などは直接雇用と見なす制度を導入すること、などです。
原案にあった「事前面接解禁」も「禁止」で閣議決定されました。
これまでも違法な事前面接が行われ、しかもこれが本人の職務技能とは関係のない年齢や容姿、家族構成などをチェックする場となっている実態がありました。
労働者の権利保護の立場から禁止は当然だと思います。

この改正案に対して、経営者側からは人材確保やコスト面から反対論が根強く、規制強化で○○万人が仕事を失うだとか、働く側からも登録型で選ぶスタイルを望む声があると報道されています。

しかしそうでしょうか。
人材が必要なら直接雇用すればいいのです。
正社員に限らず、短時間勤務、臨時(契約)社員などいろんな雇用形態があってもいいでしょうが、要は企業が雇用責任を負うべきです。
昔「口入屋」という商売がありましたが、これだって紹介されて雇うことには責任を持ちました。
派遣会社に派遣料金を払ってでも雇用責任を負いたくないなどという会社は、もともと人を使う資格など無いのです。

働く側にも多様なニーズはあるでしょうが、手軽に都合よく仕事をしたい人を基準に制度設計することはできません。
労働法は甘くすると、違法状態が雪崩をうちます。
日雇派遣、偽装請負がいい例です。

労使ともに責任と覚悟を持った雇用関係を築くことが必要で、これまでの派遣法はこれをぶち壊してきたのだと思います。
今改正は新自由主義・規制緩和の誤りを正す第1歩ですが、猶予期間や例外規定もあり、労使のさらなる努力が必要です。

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