江花和郎@ブログ

2005~2011年連合新潟会長を務める間書いたブログをその後も時々更新しています。

産業革命と労働

2006年12月28日 | 労働・経済
労働時間規制が危なくなってきた。
ホワイトカラー・エグゼンプションである。
exemption は「免除」という意味。
1日8時間、週40時間以内と決められている労働時間規制を「免除」するという労働基準法改正の審議会報告が出された。

これだけではない。働き方、働かせ方が滅茶苦茶になってきている。
12月26日の毎日新聞「記者の目」は『フリーター「奴隷ですから‥‥」』という題で、携帯電話で日々の仕事の紹介を受けて生活している人、能力が高くても労働条件の低い派遣労働者、簡単に解雇される熟練アルバイトなど現場の話が紹介されている。

18世紀イギリスで産業革命が起きた直後、労働者は過酷な働き方をさせられた。
機械などの大規模生産設備が労働を変えた。近代資本主義経済の始まりである。
長い時間をかけて労働者は人間らしい働き方を闘いによって獲得してきた。
資本家の善意など期待しても無駄なことは、繰り返し痛い目にあうことで証明された。
彼ら自身も競争に勝ち抜かなければならないのだから。

それでも資本主義経済の基本を維持しながら知恵を出し合ってそれなりに良好な労使関係も築かれた。
だが今またそれが崩壊しつつある。

新たな技術革新が人間の働き方に大きな変化を余儀なくして、グローバリゼーションと相俟って、企業間競争はかつてない程に激化し、まさに労働の尊厳などどこかに吹き飛んでしまった。
近代資本主義の初期段階と同じような働かせ方が再現されようとしている。
労働のあり方はもはや個別の問題ではなく、人類の歴史的な段階の問題となっているのではないか。

今年は「教育」問題が社会的に議論された。
教育基本法が改正されようとしたことで、関心が集まり活発な議論が展開された。
遅きに失した感は否めないし、教育基本法は葬られてしまったが。

2007年は「労働」が社会の最重要課題になるに違いない。
連合はすべての労働者を結集した歴史的闘いに起ち上がらなければならない。

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