徒然日誌(旧:1日1コラ)

1日1枚画像を作成して投稿するつもりのブログ、改め、一日一つの雑学を報告するつもりのブログ。

至の月、階段と迷路の街にて 15、16

2019-11-25 21:01:26 | 小説











 本文詳細↓



  司祭様はゆるりと肩をすくめた。
 「べつに魂以外にも食べるものはありますし。今はそれよりも、この大地を眺める者と同じ視点で、この谷から。『世界』を見渡しているほうが楽しいのですよ」
 そしてぬばたまの闇よりも濃くて深い黒い瞳が、僕の目をまっすぐ射抜いた。
 「!」
 その瞬間、加速する内心の焦りとは裏腹に、身動きができなくなって、声も出せなくなった。
 「何が彼らの逆鱗に触れるか、何が彼らに気に入られるのか、同族である私にも分かりません。私たちは皆、気まぐれですから。なので大人しくじっとして、関わらずにやり過ごすのが一番でしょう。ここに住むものたちは、皆そうしています」
 一方でその間、僕の耳の中でこだまする声があった。
 『その女が悪魔でないことを祈ることね』
 『悪魔はすでにこの大地を去った種族ですよ。忘れてしまいなさい』
 誰とも知れない二つの声。けど『その女』が『彼女』であることだけは、不思議と確信が持てた。
 「あと、助言ついでに忠告も。悪魔は意志のある音――ようは言葉ですね。言葉を交わすことで、他者に介入する力を得ます。努々油断なさらぬように」
 ぱんっと軽く手が叩かれると、僕たちは解放された。
 「それでは私もそろそろ祭に参加してきますが、皆さんはこのままごゆっくり」
 闇のベールの向こうへ消えていこうとする司祭様に、僕は椅子を蹴って立ち上がり叫んだ。
 「あの、僕も一緒に連れて行ってくれませんか⁉」
 「はあ⁉」 
 声をあげたのはアダムでも、司祭様の目も大きくなったのが分かった。驚いて目を見開いたってことだろう。
 「僕には探している人がいます。僕はその人のことを何も知らなくて、もしかしたら悪魔かもしれない。だとしたら、この機を逃せば、もう会えないかもしれない。少なくとも人間の身では、エクリプスの夜を二度も迎えることはきっとできないから」
 「おぬし正気か⁉ 一体何を考えておる⁉ だいたいおぬしがその女と会ったのは十年と少し前の月夜であろう! 悪魔であるはずがないっ!」
 アダムもここまで声を荒げることができたのか。
 「そんなの分からない。ここに来てる保証もないけど、もしいたとして何もしなかったら、僕は後悔する」
 「愚か者! よしんば生き残れたとしても、五体満足でいられるかも分からんのだぞ! 参加するなど到底許せん!」
 「心配しなくても、僕だって死にたくはないから、彼らの逆鱗に触れないように行動するよ」
 「分からず屋め! そういう話ではないと、どれだけ言えばよいのだ!」
 不毛な応酬は、ふいに起こった笑い声に割り込まれて止まった。


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文学フリマ東京、無事終了!!!

2019-11-25 19:50:22 | 日記



 昨日11/24は文学フリマ東京の日でした。
 木曜日の昼から東京に行き、土曜日の朝から引っ越しの荷物を頼み、肝心の日曜はイベント後即新幹線で帰宅。
 ヘロヘロで昨日の更新はできませんでした。すみません...。


 さて、その文学フリマ東京ですが、まーすんごい人!! 最終的に、6000人ぐらい来たそうですよ。
 私のブースのお隣さんも、今年初出店だそうで色々お話させていただきました。

 ということで、参加してみて思ったことを自分の覚え書きを兼ねてつらつらと...。




 ①売られている本の形は千差万別! ついでに値段も!!

 今回私は、手製本を1冊800円で売っていました(ちなみに、用意した半分が売れたのでとっても嬉しかったです😍)。
 私のものはこんな感じですね。

 
 

 かと思えば、業者に頼んだしっかりした作りの本があったり、製本テープで留められているタイプの本があったり。
 右を見れば、小冊子だけど箔押しのような特殊な処理をした表紙の本も売ってありましたし、左を見れば、近所の印刷屋さんでコピーしてきた紙を折ってその場でホッチキス留めした本が売られていたり。
 改めて自由だなあと感じました。文学フリマはそもそも、その人が文学だと信じるものを自由に発表する(公序良俗に反しない程度でしょうけれど)場ですから、その違いを楽しむのも一つかもしれません。

 当然値段もそれぞれに応じて、1000円以上のものから200円ぐらいのものまで、色々でした。やっぱり業者を介したり手間をかけたりすると値が上がりますよね。
 伝えたい形、見せたい形は出店者それぞれですから良いも悪いも一概には言えないでしょうが、とりあえず次回自分が挑戦するときはもう少し安くできるように頑張ります。


 ②売り場の見せ方にも一工夫を!

 私なりに無い知恵絞って、売り場について考えてみました。

 

 本そのものを見えやすいようにイーゼルに乗せてみたり、あらすじの字は大きく通りすがりでも読みやすいようにしたり。
 手慰みで作っていたアクセサリーも差し色にかつ、あわよくば売れたら良いと思って持って行きました。そしたらホントに売れたし、しかもドリームキャッチャーは「かわいい」とも言ってもらえたし、めっちゃくっちゃ嬉しかったです!!!!!!
 自己紹介カードも置きました。本は買わないけどこれだけもらっていきますねっていう人も中にはいらっしゃったので、やっぱりあると良いですね。こんなことならもっと気合い入れて作ればよかった...。
 値札も何かにかぶったりせず、かつ分かりやすい位置にセット。

 他の方々は、手書きのカラフルなポップを並べたり、のぼり? ポスター? を高く掲げていたり。
 変わったところでは、髑髏がででんと鎮座ましましているブースもありました。
 一番多かったのは、布を机にかけていることですね。今回、私足元が微妙になってしまっていたので、次からはそんなことがあっても隠せるように布を持っていこうと思います(←なんか違う(笑))


 ③ちょっとした気遣い大事に!

 私のブースを目的に来てくれた人もいたのですが、ブース番号がパッと見てわかるところになかったせいかパンフ片手にウロウロとされていました。
 私のところに限らず結構そういう方を見かけたので、やっぱり目印的な意味でも用意しておくべきだと思いました。
 
 あと、文学フリマは見本誌コーナーもあって、私もそこに提出していたのですが、みんながみんなそれを見てから来るわけじゃないです。ふと通ってみたらなんか目に止まった、みたいな人もいるんですよね。で、そういう人が私の本の中身を実際に読んでみて、「買います」と言ってくれる。すごく嬉しいです。嬉しいですけど、私ブースに置いておくようの見本誌を用意してなかったんですよ。しかも手製本であともついてないからパラパラ読みがしにくいみたいで...。
 次回はブースに置いておく見本も用意します。それをパラパラ読める小冊子にするか、「見本」と書いた売ってるのと同じものにするか悩みどころですけれど。







 このぐらいでしょうか。
 また思い出したら記事が増えてる...かもしれないです。
 とりあえず、
次はぜってえ座布団持っていってやる!!!! ケツ超痛かった!!!!!!


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