徒然日誌(旧:1日1コラ)

1日1枚画像を作成して投稿するつもりのブログ、改め、一日一つの雑学を報告するつもりのブログ。

至の月、階段と迷路の街にて 20

2019-11-29 18:20:34 | 小説










 本文詳細↓



お山のたき火で踊るわ踊る
ひょっこりぽろぽろ産まれた私
コウモリ羽でバサバサ飛ぶよ
真ん丸お目めに尖ったお耳
やじるしっぽがキュートでしょ
さあさ、飲めや笑えや百年に一度の大祭

浮かれた風に呼ばれたの
そしたら野原に眠る双子がいたよ
あれあれまあまあ
どうしましょ
親切ないたずら心が疼いちゃう
離れぬように、解けぬように
二人の髪をひとつに編んじゃった

うだる真夏の夜に恋の罠
貴方の心を乱すのは何?
昼に照る太陽の熱?
月夜にこもる花の香?
それとも……
ベットで鳴く蝶の歌?
夢は果たして夢なのか
真はどこまで真なの
覚めれば現の憂きばかり


 ぐいっと強く髪を引っ張られた。さらにはべしべしと両手両足を使って頭を叩かれる。正気だとアダムの背を叩き返してやれば、大人しくなった。
 突き破って体の外へ飛び出してくるんじゃないかというぐらい大きく跳ねる心臓を抱えたまま、こっそりと移動する僕らの周りを、色んな姿形の悪魔が通り過ぎていった。
 建物の角からぬうっと出てきたやつは、僕たちの顔を順に眺めてニィと笑った。口は耳まで裂けていた。
 鷲の翼と獅子の頭を持つ人型のモノ。
 炎を吐く巨大な黒豹が、僕らの髪の動きまで見逃さぬとばかりにしつこく睨めつけてきた。
 谷底で嫣然と微笑む一糸まとわぬ緑の髪の美女。
 卵が腐ったときの匂いを纏わせた醜い一角の怪物。
 僕たちのすぐ頭上を何度も行き来する、羽に骨の模様を刻んだ巨大な虫。ブゥーンブゥーンという羽の音で全身にぞわぞわと鳥肌が立つ。
 燃える剣を握った巨大な鳥。
 三又矛を持って嗤う頭上のたくさんの小さなナニカとは、全力で目をあわせなかった。
 違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う
 僕が会いたいのはお前たちじゃないっっ‼‼‼‼‼‼


コメント
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