

アンティーク調で暗めの店内には、
白いシャツと黒いスカートやパンツで決めた、
高級料理店並のムードの、礼儀正しい店員さんたち
その中に、今日が初日?みたいな新人さん風の男の子の店員さんがいて、
その人がどうもオドオドしてて、こういう店の店員には向いてなさげなタイプ。
最初注文を取りに来た時から、なーんだか緊張むきだしで、
暗記してあるせりふをとりあえず棒読みして勝手に去って行ったのですが
この瞬間から、ドッキリカメラのような事件が次々と・・・
水を運んできたら、私たちが広げているメニューの上に
次々水のグラスを置くでないの
えええーっって思ったけど、きっと慣れてなくて頭真っ白なんだね、
とりあえずそこんとこは良い良いということに。
その後、何度も注文の確認に戻ってくるの見て、この人だいじょぶかいな?と
だんだん心配になって、その人の動きを無意識のうちにひたすら監視。
気付けば他の店員もお客も、全員の視線が彼の方にいってるではありませんか。
すると次の瞬間「ガッシャーーーーーン」
やってくれました
彼が、トレイの上にたくさん乗せて運搬中だったワイングラスが、
ものの見事に一気に床へ
血相を変えて駆け寄り、飛び散ったガラスを片付ける他の店員さんたち。
その事件でかなり落ち込んだ様子の彼。
がんばれ、気持ちを切り変えないとまた失敗してしまうゾ
いつまでも凹んでないで落ち着くんだ
落ち着けば大丈夫だって
その矢先に今度は奥のテーブルにフォークやナイフを運んでいって、
テーブルに並べようとしたその瞬間に、
「ガシャガシャガシャーーーン
」
床に飛び散ったナイフやフォークを拾い集めて、泣きそうになって謝る彼
あ~あ、連続はまずいっしょ。
お料理を待ちながら、私たち、緊急会議。
スーパーとかの方が良くない?商品並べたり。
いや、本屋がいいんじゃん。知識さえあれば探してあげたりすればいいし。
いやいや、落としてもだいじょうぶなものじゃないと・・靴とか・・
お客さんがいる商売は無理だよ。事務は?
いや、あれじゃどこに行っても無理だよ・・・え?そ、そんな~
その後も、あちこちのテーブルから、注文と違うものが来たりして、非難ゴーゴー
おっと ちょっと目を離したすきに、隣のテーブルに彼が
フォークとナイフを並べに来ていた。
「落とすなよ~がんばれよ~落ち着いて・・・。あぅっ、危ない」
あーーーっっ想像どおりの出来事が。
テーブルの上のろうそくの真上を彼の手が通過した瞬間、
手に持っていた紙のナプキンに引火
火がついたナプキンをあわてて振り回し、
フーフー息をかけて消そうとあがく彼。
だめだって 風を起こしたらもっと燃えるから
灰がテーブルの上やお客さんに降りかかってるし
ついに彼は火のついたナプキンをトレイの上に燃えたまま乗せ、
厨房に向かってダッシュ
店内は騒然
だってありえないでしょ~ハワイのポリネシアンショーじゃないんだから・・・
怪我人がなかったから良かったようなものの、
彼の将来がとっても心配になりました。
今もアソコでまだ働いているんだろうか・・・
もういないんだろうな。
自分に合った仕事に出会えただろうか・・・
びっくりしたけど、ある意味ショー付きのディナーみたいで、
彼には悪いけど、ちょっぴり楽しませてもらったような気もします。
もう今後、あんな「マ・メゾン」は二度と体験できないでしょ