鉄道車両が増えるとともに、その背景として鉄道施設や鉄道とかかわる産業施設、建物にも興味がわいてきました。いままでの写真にもちらちら写っているのでお分かりのように、ドイツの鉄道車両がメインですから当然ドイツ、ヨーロッパ風の建物を探さなくてはなりません。FALLERという鉄道模型用の建物専門メーカーの駅舎、機関庫、産業施設、建物などのプラスチックモデルが出回っています。ドイツ製鉄道模型の出来の良さに比べ、日本のプラモデルに慣れた目からするとなんともお粗末な出来なのですが他にないので仕方ありません。しかし、こと鉄道施設の模型で言うと日本メーカーの出来、品質もたいしたことはありません。TAMIYAなどスケールモデルメーカーが参入してくれないかなと切に思う次第です。さて、これはFALLER社のクラシックな鉱山施設のモデルです。成形品の出来がたいしたことないのに高価なのが大欠点なのですがこれも仕方ありません。しかし、組み上げて塗装をしてみるとなんとか雰囲気が出てきますね。私の建築モデル作り、車両が目立たなくなるのでなるべく淡い色で塗装、しくじると薄汚くなるのでウェザリングは極力しないのが流儀です。
Roco社はHOスケールのプラスチック製軍用車両、MINITANKシリーズで知られていますが、HOゲージではフラットカーにNATO軍の戦車や装甲車を積載したセットものもいくつか発売していましたよね。Nスケールでもこうした戦時ものの場合、同じカモフラージュパターンをあしらったパッケージルールが使われている。特色ある商品シリーズを持つブランドの強みを生かした戦略だと思う。最近、大人のファンも増えてきたようだから日本のメーカーでもこうしたヒストリーものの企画があってもいいのになと思うけど、日本じゃ売れないんだろうな。
ご存知のように第二次大戦後ドイツは東西に分割されます。しばらくはアメリカ、イギリス、ソ連、フランスなどが統治するわけですが、これはアメリカ軍専用車両とイギリス軍専用車両。日本でも連合軍が程度のいい客車を徴用し、車体に白いラインを入れ連合軍専用車両としていた歴史がありますがこれと同様のドイツ版です。Roco社製。
ドイツの客車。戦災復旧車両、MINITRIX社製。空襲や戦闘にあって大破した客車のうち焼け残った台枠や台車をベースに復旧した応急的車両で、第二次大戦後の客車不足を補うために作られたといいます。Lチャンネル材の外フレームに板張り、窓も小さく実に粗末な車両です。日本も同様の事情で、オハ70系がこれにあたるのでしょうが、同じ復旧応急車両でも70系はサイドにドアが3つあったりしてなんとか客車らしい体面を保っていますが、ドイツのは妻面に小さなドアがあるだけ、車体の斜めフレームがほとんど貨車の外観です。しかしまあ、こうした車両までモデル化するところがすごいですね。ドイツの鉄道模型世界の奥深さ、ファンがいかに大人であるかを感じます。写真はDB(西ドイツ)のグリーンですが、DR(東ドイツ)版はライトグレイです。他にRoco社からほとんど貨車といった感じの荷物車タイプが発売されてます。でも海外モデルの中でもこのような珍しいものは少数しか輸入されないためかすぐ売り切れますね。
前述のイギリスで手に入れたDEPOL社製、MkⅠ型客車。日本で言えばオハ○○のような標準型の客車。妻面のルーフに飛び出た手すりが別パーツになっていたり、窓周りや台車のディテールもGraham社製よりよく出来ている。こうしたディテールがファンにとっては泣かせどころなのだが、手すりなど金型に掘り込んだだけでお茶を濁したり、果ては省略してしまったりというのもありでがっかりします。さて、色はマルーン(Maroon栗色)。ところで、もとの我が国鉄、その成り立ちからしてイギリス流だからお手本にしたんだろうけど客車の色くらいオリジナリティーを発揮すればいいのに国鉄時代の客車は同じマルーンでしたね。ところで、イギリスの客車は妻面が黒く塗られている。マルーン以外の塗装の客車も妻面は黒。ドイツなど大陸ヨーロッパではこんなことしていないのに、どうしてか理由を知っている方がいればぜひ教えてほしいと思っています。日本の客車もこれは真似していませんね。しかしこの黒妻面、連結してみると列車としての一体感が増すようでなかなか良いですね。
昨年イギリス旅行へ行ったとき手に入れた、まったくイギリスまる出しのトロンとした顔つきのディーゼル機関車。Graham Farish製。海外で、ましてツアーで行った先で鉄道模型屋を探すなんて至難の業。ところはバートン・オンザウォーターだったかな、コッツウォルドのとても美しい街にあったのです。ツアーバスを降りて散策の時間、ずっとこの店の中に居たと言って連れに呆れられました。小さな街のわりに広い店でミニカーが大部分なのですが奥に鉄道模型のコーナーがありました。このへんは目ざとく見つけてしまうのです。もちろん英国型がほとんど。少しだけドイツ製。メーカーはBACHMANNやGraham Farish、日本では見かけないDEPOL。HOゲージはともかく、イギリスのNゲージモデルの粗雑さ、レベルの低さは以前も書いたけど、よくこんなもんでこの国のファンは満足してるなと思うのですが、このDEPOLというメーカー、なかなかグッドです。蒸気機関車はGrahamよりまし。とくに英国型客車のディテールが良くて4両買ってきました。なんで日本に入ってこないんだろう。さて、これはブリティッシュレイルのマークが大書きされたクラス37ディーゼル機関車。出来は良くないしこのサイズでライトも点かないなんてとんでもないモデルだけれど、むかし公共デザインの事例としてよく紹介されていたこのマークが好きなので、客車などとまとめ買い、イギリスの地域経済に貢献してきました。でも帰りの空港で税金を払い戻してもらったから貢献になってないか。
ところは銀座。いまから6年前。プラモデル用によくあるくすんだ色の塗料が急ぎ必要で、銀座でそんなものが置いてあるのはI屋かT堂しかありません。近いのはT堂。時計・貴金属の横、狭い階段を上り中2階を通って3階へ。階段を上がってすぐ、はるか昔、ここにHOゲージの大きなジオラマ(当時はレイアウトと言ってましたね)があったのです。今はNゲージとプラモデル少々の売り場。目的の塗料は買ったのですが、あまりに久しぶりなので店を見てみようという気になってしまったのですね。魔が差したと言うべきでしょうか。3階へ。ここはとっても懐かしいHOゲージ。昔はほとんどアメリカ型だったのにヨーロッパ型が増えました。車両の数はもう圧倒的です。ショーケースを眺め、ふと見ると3階の上があるじゃありませんか。ついフラフラと上りましたがそこは中古鉄道模型の売り場でした。中古品が売買されているとは知らなかったのです。T堂で中古ねえ、などと見ているうちにNゲージのアメリカ型ディーゼル機関車が目に止まりました。この実用的な、量感あふれるフォルムは好きなんだよな、と、価格は1500円。えっ!?安っ!置いて眺めるだけでもいいかも知れない、、、。この気の振れかたがあとでとんでもないことになるとも知れず、初めて手に取るNゲージのディテールにも気が惹かれ、何両かあるうちからデザインが好ましいのを2両選んだ次第です。動かしてみますか?の店員さんの声に、そうか動くんだ、と気付くくらい鉄道模型を買うという意識ではなかったんです。それらは動きました。感激。そのうちの一台がこの写真。どんな時代のどんな路線の機関車かも知らずショードー買いです。以上、鉄道模型趣味の再開話でした。