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someとanyの論理(5) "Anybody can not"

2016-10-25 06:33:13 | 数学基礎論/論理学
 someとanyの論理(3) 否定文で書いた次の例文をご覧ください。

A2n) Any box is not opened. どの箱も開いていない。
A5n) No box is opened. どの箱も開いていない。

B2n) Any box will not be opened. どの箱でも開かないだろう。
B5n) No box will be opened. どの箱も開かないだろう。

C2n) Any box can not be opened. どの箱も開けないだろう。
C5n) No box can be opened. どの箱も開けないだろう。

 いずれも日本語では同じになりますが、英語の2つの表現のうち"Any ~not"の形は間違いともされているようです。例えば[Ref-2]では、次の文は間違いと断じています。

 Anyone can't play the piano.

 その理由は下記の通り。
--------引用開始-------------------
否定文「全く~ない」で「Any」を使う場合は
常に「Not」よりも後ろに「Any」おかなければなりません。
その理由は「Not」は「"Not"よりも後ろの部分を否定するものだから」です。
なので「Any+Notの語順」は使うことができません。
--------引用終り-------------------

 どうも不可解な論理です。"Not"よりも後ろの"play"を否定して「ピアノを弾けない」という意味で誤解の余地はなさそうなのですが。確かにネット上で調べてみた限り「Any+Notの語順」はほとんど使われないようです。とはいえわずかながらも使用例はありました。

1) 本のタイトル、Mohammad Reza Shokri Amiri "Why Anybody Don't Understand Me" Xlibris Corporation, (2009)
2) "3DS>> Role-Playing>> Action RPG>> Monster Hunter Generations" "anyone don't like speedrunners in this forum?"
3) Millie Jackson の動画タイトル "Anybody Don't Like Millie Jackson "
4) とある詩人のサイト? "if i or anybody don't know "

 わずかながらも使用例はあるし、それでnativeもちゃんと読んでると考えられるし、「Any+Notの語順」の頻度が低いのは慣用的な規則に過ぎないようにも思えます。むろん慣用的に使用頻度が低い文例を使えば読者に違和感を与えることも事実でしょうし、上記の稀な使用例は逆にそういう違和感を与えて印象付ける効果を狙っているという可能性もあります。

 なお「"Not"よりも後ろの部分を否定」という話は、[Ref-1]では「ほとんどの場合その右側を否定する[p55]」として同じことが書かれています。例として次の2つが比較されていました。まさに部分否定と全否定との区別方法です。

The rich are not allways happy. 金持ちがいつも幸せとは限らない。
The rich are allways not happy. 金持ちはいつも幸せではありません。


----------------------
Ref-1) 大西泰斗;ポール・マクベイ(Paul Chris McVay)『ネイティブスピーカーの英文法―英語の感覚が身につく』研究社出版(1995/02) ISBN-13= 978-4327451035
Ref-2) 飽きっぽい人のための長続き英会話「限定詞「Any」のイメージと使い方!!」(2016/06/10)
Ref-3) "Learn English Teens"(十代のための英語学習)

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