木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

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一人でできる発想法(2)

2007年04月24日 | アイデア発想法(コツツボ)
<写真>100本のバラ


◆一人でできる発想法 ポジショニングマップ
244:【デザインのコツ・デザインのツボ 100連発!】第44発 商品企画


 こんにちは!「工業デザイン相談室」木全(キマタ)です。デザイナーの実像・デザイナーとの付合い方・デザイナーとのトラブル回避法など書いていきます。御相談がありましたら、コメントをくださいね。

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お金をかけるか、時間をかけるか

 3月からアイデア発想法の話をしています。前回までにアイデアの極意アイデア発想の6か条いろいろな発想法について書きました。

 今回は、お金をかけずに一人でできる発想法のご紹介です。

 私は現在一人でデザインコンサルタントをしています。なので、アイデアは一人で出しています。というわけで、私がアイデア出しをする際に実際に使っている手法をご紹介します。良くある手法ですが、結構有効です。

 お金をかけませんので、できることは限られます。しかし、お金はかけなくても、半日とか1日とか時間はかかります。お金も時間もかけないのでは、さすがにアイデアも出てきません。

 では早速、発想法のご紹介ですが、そのまえに、

アイデアは既成事実同士の組み合わせで生まれる

新しいアイデアは、キッカケがあれば出てくる


ということを思いだして下さいね。

 これからご紹介していく発想法はすべて、組み合わせるための事実をたくさん集めることと、アイデアのキッカケ創りのためにあります。いかにキッカケを見つけるか、どれだけ多くの関連する事実を集めるか、それが目的です。

 1人でできるキッカケ創りとして、以下の4つを挙げました。

 (1)テーマを決めて街に出て、半日市場調査をする
 (2)ポジショニングマップを作る
 (3)10年分のヒット商品番付を眺めてみる
 (4)思いついたキーワードをグーグルで検索する

 前回は、(1)の市場調査についてご紹介しました。今回は、(2)ポジショニングマップです。


心の中のポジショニング

 「ポジショニングマップ」なんて言われると、なんだか難しそうですが、決して難しいものではありません。

 「ポジション」とは、「位置づけ」のことですから、何らかの位置づけを行うことがポジショニングマップの役割です。

 野球、サッカー、F1などなど、いろいろな競技でどのようなポジションにいられるのかは、選手にとっては大変大きな問題です。それは、観客にとっても同じです。誰がどんなポジションにつくのか、それによって応援する姿勢にも影響が出てきます。

 ポジションは、競技場のある特定の位置と言う具体的なものですが、選手にとっても観客にとっても、そのポジションは心理的に大きな意味を持ちます。F1でポールポジションを取れるかどうか、それは、そのレースにおいて、選手の意識にもサポーターの意識にも大きな影響を与えているはずです。

 と言うわけで、「ポジション」には「具体的な」位置づけという意味もありますが、それよりも人にとっては「心の中での位置づけ」のほうが重要なのです。

 野球、サッカー、F1などの選手やサポーターにとってだけでなく、世の中のすべてのモノや製品は、人の心の中で、ある「ポジション=位置」を占めています。

 『私は「三越」よりも「高島屋」のほうが好きだ。』

 『ソニーのデザインはいいけど、パナソニックのほうが頑丈で壊れない。』

 と言うように、世の中のすべてのブランドや製品は常に、生活者の心の中に「ポジショニング」されています。


ポジショニングマップ

 そういう意味で、『これから開発しようとしている製品を、生活者・消費者にどのような「位置づけ」で認識してもらいたいのか?』、それを事前に検討するためのツールが「ポジショニングマップ」です。

 「ポジショニングマップ」はいろいろな場面で使うことができますが、ここでは、アイデアの『キッカケ創り』としてのポジショニングマップを考えましょう。

 これから開発する製品の「ポジション」を決めるためには、とにもかくにも競合製品と較べてみる必要があります。

 そのためには、とにかく競合だと思われる製品の写真を集めることに尽きます。とにかくたくさん集める。最低でも100は必要です。今は、ネットを使えば、たった数時間で、それくらいの写真は集められます。新しい製品を開発するのですから、そのくらい時間は割くべきです。

 競合製品を最低100個並べてみると、それぞれの「位置関係=ポジショニング」が見えてきます。そうなればしめたものです。その中に、自分のアイデアを「ポジショニング=位置づけ」すればいいのです。それが、これから開発する製品が顧客に受け入れられる、もしくは受け入れられたいと考えられる「ポジション」です。

 もしかすると、考えついたアイデアはありふれたものかもしれません。

 個人的な話ですが、今年、母親が古希(70歳)を迎え、お祝いに70本のバラの花束を贈ろうと考えました。70本のバラを贈るなんて、小説やお芝居の中ではあっても現実に贈る人はいないんじゃないか、と思いつつも、では、70本のバラの花束がいくらぐらいするものかとネットで調べてみたら、100本のバラの花束を売っている店がありました。

 「70本のバラの花束を贈る」なんていうのは、誰でも考え付くアイデアだったと言うことかもしれません。

 そうは言いつつも、実際にお店に買いに行ったら、70本のバラを用意しているお店がなく、何軒もお店を回らなければなりませんでした。そして、70本のバラのボリューム感はなかなかのものでしたし、母親もかなり喜んでくれました。

 アイデア自体はありふれていても、実施する人がいない、というアイデアもあります。そんなことも、いろいろな製品を集めることで見えてきたりします。

 そのような評価のサジ加減は難しいところではありますが、最低100の競合製品を調べて見渡せば、自分のアイデアが市場の中でどのくらいの「ポジション=位置づけ」になるかは、だいたい予想がつくはずです。

 そのようなポジショニングマップを作れば、市場の動向や今まで見えなかったニッチが見えてくることもあります。

 何かしらの具体的なアイデアがあるのであれば、競合製品のポジショニングマップを作ることによって、この製品は絶対売れるという積極的な方針から、この市場は撤退すべきだという消極的な方針まで含めて、何らかの方針が見えてくるでしょう。


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