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これまで様々に大衆食の旅を続けてきているが、いくつか途轍もなく心に響く店があったりする。
大衆食である。だから緻密な味付けや盛り付けなんかは、ない。
でも、だからこそ判る。剥き出しで、心で、仕事をするとはこういうコトだ。
もし一人でこの店へ訪れたのなら、カウンターに座ってみてほしい。
多くのメニューからなる注文を独りで流れる様にこなしながら、一見の自分にも声をかけ、常連ともやりとりし、新人?のアルバイトさんにも気遣いを忘れず、店全体を見守るその姿。しかも飄々とだ。なかなかできる人はいないと思う。
訊けば45年。この町の飲兵衛達と心を通わせながら続けて来られたのだろう。
その間、時代は昭和から平成を抜けて令和となった。
俺は時代の役目を終えたんだよ。なんてちょっぴり寂しいコトも仰っていたが、自分は思う。
ジョッキの3/4注がれたホッピーセットのナカの量も、6点盛られた3点盛りも、200g越えの牛カルビ焼きも、そして、それらが全て300円であるコトも。語るに充分の魅力であるのだが。
自分が店を後にして一番心に留まったのは
人と人。もしかしたら、商売を超えたところに在る、本当の世界。
いつの時代にあっても、大切なものがココにはあるんじゃないか。という感動なのであった。
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