石巻の朝はあいにくのお天気でしたが、バスでまず女川へ向かいました。
野球場だった場所に建てられた仮設住宅の集会所にて、10時からの演奏会。
この施設は、著名建築家によるコンテナを使用した画期的工法と、
著名人(坂本龍一氏や千住博氏)寄贈のマーケットやアトリエなどの存在で、
マスコミにも大きく取り上げられた有名物件だそうです。
女川町町民野球場仮設住宅

その中の「集会所」は、コンテナと宮城県産の杉材を組み合わせて作られた、
70人収容の集会スペースです。
様々なイベントが行われるというこの場所で、演奏をさせていただきました。
リハーサルからお客様が聴いてくださり、開演後には満席に。

こぢんまりした会場での演奏は、奏者もお客様も寄り添うような時間になりました。
お子さんも年輩の方も皆さんが心から楽しんでくださっているのを感じつつ、
ひとりひとりに語りかけるように歌う手島由紀子さんのソプラノを聴いていたら、
いろんなものがこみ上げて、弾きながらぐしゅぐしゅになったのは私だけではありませんでした。
予定になかったアンコール曲まで演奏させていただき、充実感いっぱいです。

終演後はすぐ撤収して、次は再び石巻です。
車中にて、石巻の小杉さんが手配してくださった美味しいお弁当を頂きつつ、
演奏会場である「遊楽館かなんホール」へ。
ここでも、石巻マンドリーノの皆さんは全ての準備を終えて待っていてくださいました。

3年前はコンサートホール修理中のため、
建物ロビーの立派なパイプオルガン前にて演奏したのでしたが、
今回は、その後再開されたホールにて、満席のお客様をお迎えすることができました。
この日こんなに多くのお客様に来場いただけたのも、
石巻マンドリーノさんの普段の活動が、地元の皆さんに愛され応援されている証だと思います。
私たちもそのおかげでこうして演奏出来るのだと、改めて感謝する思いでした。

(リハ中の画像)
さて開演後、プレソ単独ステージ1曲目から、お客様は熱心に聴いてくださいました。
石巻マンドリーノ単独ステージでは、指揮者の小杉さんのスマートで熱い指揮に
よく息の合ったアンサンブルが躍動します。

(ステージ袖にてうっとり聴いておりました)
そして合同ステージ。
演奏中ずっと、奏者とお客様の心がひとつになって、おおきな輪でつながっているような気がしていました。
手島さんの心にしみる歌声、やぎりんさんの透き通ったケーナの音色、
マンドリンのさざなみ、あのときあの場にいた全てのひとの想い。
客席からは自然に湧き上がる歌声、曲が終わるまで待ちきれないといわんばかりの拍手、
曲の終わりと同時に上がる歓声、そして最後はブラボーが飛び怒涛のような拍手喝采。
これほど素直で気取りや躊躇いのない、熱い反応をいただいたコンサート、
私は生まれて初めてでした。
いまも思い出すだけで胸が熱くなります。
きっとこれからも一生、忘れることはないでしょう。
終演後は名残惜しかったけれど、それぞれ帰途につかねばならず。
ホールを出て、慌ただしく駐車場で乾杯、つかの間の歓談。
夕べよりも更に距離が縮まり、もうずっとみんな一緒に弾き続けてきたような気がするのに…
すぐに、お別れの時間。
石巻マンドリーノの皆さんが笑顔で大きく手を振ってくださる中、
バスで仙台へと向かったのでした。

前夜歩いた石巻駅から宿までの通り沿い、建物も道も震災後に新装されたそうですが、
地元の方々の手で大切に、綺麗に(そして楽しく)保たれていました。
昼間見た女川の沿岸部、3年前は横倒しの建物が放置されたままになっていたけれど、
いまは整地が進み、あたらしい町へと突き進むパワーを感じました。
ひとつひとつ、一歩一歩、時間がかかってもずっと前を向き歩き続けること。
それは、単純なようでとても難しいことだと誰もが知っています。
でもそれを日々実践し、成し遂げようとしている方々がこんなにたくさんいる。
頭をがつんと叩かれたような気がしました。

旅の間、そして帰って来てからも、いろいろなことを感じたり考えたりしています。
たくさんのことがありすぎて、なかなかまとめることができませんが、
我が身を振り返り、帰福以来強く思うことがあります。
言い訳したり逃げたりせず、自分に嘘をつかずに歩いていこう、と。
あとこれはオマケですが、どこでどんな形であれ、弾き続けていきたい、と。。
今回、ご縁を頂けたのは本当に幸せなことでした。
仲間にいれてくださったすべての皆さまに、心から感謝申し上げます。
おかげさまでこんなに貴重な経験ができました。
消化しきれていない様々な思いや感情は、これからも時間をかけて噛みしめていきます。
音楽を続けていてよかった。
弾き続けてさえいれば、きっとこれからも、たくさんの何かが待っている。
物理的距離や環境を超えて。
いつかまた石巻の皆さんと、そして東京や仙台の皆さんと、ご一緒できますように。

--------
※以下、演奏会の記録です。
(1) プレクトラム ソサエティ「輝望の丘コンサート」
2015年8月23日(日)10時開演
女川町民球場仮設住宅集会所
☆劇場支配人序曲(モーツァルト)
☆ローレライパラフレーズ(ラニエリ)
○ローズ(マクブルーム)*
○広い河の岸辺(スコットランド民謡/八木倫明訳詞)* **
○花祭り(サルディバル)**
○花は咲く(菅野よう子作曲/岩井俊二作詞)* **
アンコール
○竹田の子守唄(京都民謡)*
ソプラノ:手島由紀子*
ケーナ:八木倫明**
指揮:小穴雄一○/久保光司☆
マンドリンアンサンブル:プレクトラム ソサエティ
(2) 石巻マンドリーノ・プレクトラム ソサエティ ジョイントコンサート
2015年8月23日(日)午後2時開演
石巻市遊楽館かなんホール
【第1部:プレクトラム ソサエティ】
☆劇場支配人序曲(モーツァルト)
☆ローレライパラフレーズ(ラニエリ)
○竹田の子守唄(京都民謡)*
○しゃぼん玉のうた(中山晋平作曲/野口雨情作詞)*
○地球のこもりうた(小穴雄一作曲/星乃ミミナ詩)*
【第2部:石巻マンドリーノ】
*光の中で(湯浅隆)
*君といつまでも(弾厚作)
*川の流れのように(見岳章)
*「メキシコ組曲」よりII.セレナータ V.ポルカ(アングロ)
【第3部:合同ステージ】
*望洋の詩(宍戸秀明)
♪火祭りの踊り(ファリャ作曲/宍戸秀明編曲)
○ローズ(マクブルーム作曲作詞)*
○きっと春はくる(朝岡真木子作曲/星乃ミミナ詩)*
○さくらが咲いて(小穴雄一作曲/星乃ミミナ詩)*
○思い出のサリーガーデン(アイルランド民謡/八木倫明訳詞)* **
○広い河の岸辺(スコットランド民謡/八木倫明訳詞)* **
○花祭り(サルディバル)**
(アンコール)
○花は咲く(菅野よう子作曲/岩井俊二作詞)* **
○広い河の岸辺(スコットランド民謡/八木倫明訳詞)* **
ソプラノ:手島由紀子*
ケーナ:八木倫明**
指揮:小穴雄一○/久保光司☆/小杉公美*/宍戸秀明♪
マンドリンアンサンブル:石巻マンドリーノ/プレクトラム ソサエティ
野球場だった場所に建てられた仮設住宅の集会所にて、10時からの演奏会。
この施設は、著名建築家によるコンテナを使用した画期的工法と、
著名人(坂本龍一氏や千住博氏)寄贈のマーケットやアトリエなどの存在で、
マスコミにも大きく取り上げられた有名物件だそうです。
女川町町民野球場仮設住宅

その中の「集会所」は、コンテナと宮城県産の杉材を組み合わせて作られた、
70人収容の集会スペースです。
様々なイベントが行われるというこの場所で、演奏をさせていただきました。
リハーサルからお客様が聴いてくださり、開演後には満席に。

こぢんまりした会場での演奏は、奏者もお客様も寄り添うような時間になりました。
お子さんも年輩の方も皆さんが心から楽しんでくださっているのを感じつつ、
ひとりひとりに語りかけるように歌う手島由紀子さんのソプラノを聴いていたら、
いろんなものがこみ上げて、弾きながらぐしゅぐしゅになったのは私だけではありませんでした。
予定になかったアンコール曲まで演奏させていただき、充実感いっぱいです。

終演後はすぐ撤収して、次は再び石巻です。
車中にて、石巻の小杉さんが手配してくださった美味しいお弁当を頂きつつ、
演奏会場である「遊楽館かなんホール」へ。
ここでも、石巻マンドリーノの皆さんは全ての準備を終えて待っていてくださいました。

3年前はコンサートホール修理中のため、
建物ロビーの立派なパイプオルガン前にて演奏したのでしたが、
今回は、その後再開されたホールにて、満席のお客様をお迎えすることができました。
この日こんなに多くのお客様に来場いただけたのも、
石巻マンドリーノさんの普段の活動が、地元の皆さんに愛され応援されている証だと思います。
私たちもそのおかげでこうして演奏出来るのだと、改めて感謝する思いでした。

(リハ中の画像)
さて開演後、プレソ単独ステージ1曲目から、お客様は熱心に聴いてくださいました。
石巻マンドリーノ単独ステージでは、指揮者の小杉さんのスマートで熱い指揮に
よく息の合ったアンサンブルが躍動します。

(ステージ袖にてうっとり聴いておりました)
そして合同ステージ。
演奏中ずっと、奏者とお客様の心がひとつになって、おおきな輪でつながっているような気がしていました。
手島さんの心にしみる歌声、やぎりんさんの透き通ったケーナの音色、
マンドリンのさざなみ、あのときあの場にいた全てのひとの想い。
客席からは自然に湧き上がる歌声、曲が終わるまで待ちきれないといわんばかりの拍手、
曲の終わりと同時に上がる歓声、そして最後はブラボーが飛び怒涛のような拍手喝采。
これほど素直で気取りや躊躇いのない、熱い反応をいただいたコンサート、
私は生まれて初めてでした。
いまも思い出すだけで胸が熱くなります。
きっとこれからも一生、忘れることはないでしょう。
終演後は名残惜しかったけれど、それぞれ帰途につかねばならず。
ホールを出て、慌ただしく駐車場で乾杯、つかの間の歓談。
夕べよりも更に距離が縮まり、もうずっとみんな一緒に弾き続けてきたような気がするのに…
すぐに、お別れの時間。
石巻マンドリーノの皆さんが笑顔で大きく手を振ってくださる中、
バスで仙台へと向かったのでした。

前夜歩いた石巻駅から宿までの通り沿い、建物も道も震災後に新装されたそうですが、
地元の方々の手で大切に、綺麗に(そして楽しく)保たれていました。
昼間見た女川の沿岸部、3年前は横倒しの建物が放置されたままになっていたけれど、
いまは整地が進み、あたらしい町へと突き進むパワーを感じました。
ひとつひとつ、一歩一歩、時間がかかってもずっと前を向き歩き続けること。
それは、単純なようでとても難しいことだと誰もが知っています。
でもそれを日々実践し、成し遂げようとしている方々がこんなにたくさんいる。
頭をがつんと叩かれたような気がしました。

旅の間、そして帰って来てからも、いろいろなことを感じたり考えたりしています。
たくさんのことがありすぎて、なかなかまとめることができませんが、
我が身を振り返り、帰福以来強く思うことがあります。
言い訳したり逃げたりせず、自分に嘘をつかずに歩いていこう、と。
あとこれはオマケですが、どこでどんな形であれ、弾き続けていきたい、と。。
今回、ご縁を頂けたのは本当に幸せなことでした。
仲間にいれてくださったすべての皆さまに、心から感謝申し上げます。
おかげさまでこんなに貴重な経験ができました。
消化しきれていない様々な思いや感情は、これからも時間をかけて噛みしめていきます。
音楽を続けていてよかった。
弾き続けてさえいれば、きっとこれからも、たくさんの何かが待っている。
物理的距離や環境を超えて。
いつかまた石巻の皆さんと、そして東京や仙台の皆さんと、ご一緒できますように。

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※以下、演奏会の記録です。
(1) プレクトラム ソサエティ「輝望の丘コンサート」
2015年8月23日(日)10時開演
女川町民球場仮設住宅集会所
☆劇場支配人序曲(モーツァルト)
☆ローレライパラフレーズ(ラニエリ)
○ローズ(マクブルーム)*
○広い河の岸辺(スコットランド民謡/八木倫明訳詞)* **
○花祭り(サルディバル)**
○花は咲く(菅野よう子作曲/岩井俊二作詞)* **
アンコール
○竹田の子守唄(京都民謡)*
ソプラノ:手島由紀子*
ケーナ:八木倫明**
指揮:小穴雄一○/久保光司☆
マンドリンアンサンブル:プレクトラム ソサエティ
(2) 石巻マンドリーノ・プレクトラム ソサエティ ジョイントコンサート
2015年8月23日(日)午後2時開演
石巻市遊楽館かなんホール
【第1部:プレクトラム ソサエティ】
☆劇場支配人序曲(モーツァルト)
☆ローレライパラフレーズ(ラニエリ)
○竹田の子守唄(京都民謡)*
○しゃぼん玉のうた(中山晋平作曲/野口雨情作詞)*
○地球のこもりうた(小穴雄一作曲/星乃ミミナ詩)*
【第2部:石巻マンドリーノ】
*光の中で(湯浅隆)
*君といつまでも(弾厚作)
*川の流れのように(見岳章)
*「メキシコ組曲」よりII.セレナータ V.ポルカ(アングロ)
【第3部:合同ステージ】
*望洋の詩(宍戸秀明)
♪火祭りの踊り(ファリャ作曲/宍戸秀明編曲)
○ローズ(マクブルーム作曲作詞)*
○きっと春はくる(朝岡真木子作曲/星乃ミミナ詩)*
○さくらが咲いて(小穴雄一作曲/星乃ミミナ詩)*
○思い出のサリーガーデン(アイルランド民謡/八木倫明訳詞)* **
○広い河の岸辺(スコットランド民謡/八木倫明訳詞)* **
○花祭り(サルディバル)**
(アンコール)
○花は咲く(菅野よう子作曲/岩井俊二作詞)* **
○広い河の岸辺(スコットランド民謡/八木倫明訳詞)* **
ソプラノ:手島由紀子*
ケーナ:八木倫明**
指揮:小穴雄一○/久保光司☆/小杉公美*/宍戸秀明♪
マンドリンアンサンブル:石巻マンドリーノ/プレクトラム ソサエティ