□作品オフィシャルサイト 「一枚のハガキ」
□監督・脚本・原作 新藤兼人
□キャスト 豊川悦司、大竹しのぶ、六平直政、大杉 漣、柄本 明、倍賞美津子、
津川雅彦、川上麻衣子、絵沢萠子、大地泰仁、渡辺 大、麿 赤兒
■鑑賞日 8月14日(日)
■劇場 109CINEMASMM横浜
■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)
<感想>
99歳、日本最高齢の新藤監督最後の作品。
「今日はお祭りですがあなたがいらっしゃらないので何の風情もありません。友子」
松山啓太(豊川悦司)は戦友森川定造(六平直政)に届いた妻・友子(大竹しのぶ)からの一枚のハガキを託される。
戦争末期に召集された100人の中年兵。 赴任する戦地は上官がクジを引いて決める。
人の命をクジ引きで・・・。 100人のうち60人が生きて帰れないフィリピンへ送られる。
定造はフィリピン行き。 生きて帰れないことは誰しもわかるし、返事を書こうにも
検閲が厳しく出せない。 そこで定造はもし松山が生きていたら妻にこのハガキを読んだことを伝えてくれと託す。
結果、100人のうち6人が生き残り、松山もクジ運の強かった1人に。
しかし松山とて帰宅すると、妻が実の父親とデキていなくなっていた。
戦争がもたらしたものは、戦地に赴いた戦士だけではなく、残された家族や友人とて
その後遺症をいまだ拭い去れない状況は否めない。
御年99歳の監督が自らの体験を踏まえ、少ない登場人物の中で、
折り重なるそれぞれの戦争の傷跡。 それは心も体も・・・。
今と違って不自由な環境で、一人生きていく友子に次々と降りかかる災いや、
電気や水道すらない田舎暮らしなかで、ただ日々の生活に追われていく。
誰が選んだ人生なのか、誰が始めた戦いなのか。
自問自答を繰り返しても結論めいたものは出ない。
ここではまさに大竹しのぶの演技が光る。
時代背景を考えると茶髪は気になるところだったが、
望まない人生を、それでもひたむきに生きる女を
強い気持ちで演じていたことは誰も疑わないところだろう。
一方、トヨエツ演じる松山は、たまたまクジ運が良かったとは言え、
友子に「なんであんたは死なんかった」と詰め寄られ、当然返す言葉すら見当たらない。
戦争の傷跡を余計な飾りも無く淡々と描き出している反面、
後家である友子を狙う泉屋吉五郎(大杉 漣)と
トヨエツ演じる松山との対決が重い空気を一気に笑いで染める。
今までモノトーンに近い流れがこの二人の対決で色がついたようになる。
と同時に、友子はブラジルに渡るという松山の実直さに少しずつ惹かれ、
松山といて戦友の妻・友子に惹かれて行く。
クジ運だけで生き残った罪悪感はいつしか、家族も、女としての幸せな人生も、
何もかも失ってしまった友子とともに、戦争という得体の知れない化物に翻弄
されながらも、戦友の死をきっかけに新しい人生の選択肢を見つけるのである。
全編を通してモノトーン調ではあるものの、大竹しのぶの迫真の演技と、
トヨエツvs大杉 漣の果し合い喜劇が重なり妙に可笑しい映画に仕上がっていた。
公開劇場が若干拡大(23館)されたとは言え、公開館が少ないのは残念なことだが、
これはDVD(ブルーレイ)が発売されたら是非ご覧戴きたい1本です
>99歳になって、作ったと言うので、いままで封印してたんでしょうかね。
かなり長い年数、構想を練っていたそうですよ!
作品は実にシンプルな上がりでしたが(笑)
>不謹慎ですが、間に合って良かったと思いましたよ。
やはり引き際の作品にと取っておいたのだと思います。
>脚本は書く!と明言しておられたんで、期待したいです。
そうですね^^
でも、他の監督に撮れるかどうか(爆)?!
99歳になって、作ったと言うので、いままで封印してたんでしょうかね。
不謹慎ですが、間に合って良かったと思いましたよ。
逆にまだまだ大丈夫!これで最後なんて言わずに、もっともっと作ってもらいたいです。
脚本は書く!と明言しておられたんで、期待したいです。
>映画館が満員で、その中で多分自分が一番若かったと思います (^_^;)
やっぱり(笑)?
>もっと若い人たちに観てもらいたいな、と思いました 上映館、増やせたらいいのにね
そうですね^^
こういう映画こそ、シネコンがリードして上映するタイトルだと思うのですが。
もっと若い人たちに観てもらいたいな、と思いました
上映館、増やせたらいいのにね
>変に反戦だけに偏らず、娯楽としての映画を楽しみながら、そこに想いが込められていたように感じました。
仰る通りだと思います^^
>だから嫌らしさとか鼻につくところが全くないんですよね。
そうですね^^
そうでないとあのトヨエツVS大杉の喜劇は見れなかったでしょうから(笑)
>それにしても錚々たる役者さんたちが出演していますが、やはり大竹しのぶとトヨエツの2人芝居が素晴らしい!
役者の力量がこの映画の良さに反映していましたね!
だから嫌らしさとか鼻につくところが全くないんですよね。
それにしても錚々たる役者さんたちが出演していますが、やはり大竹しのぶとトヨエツの2人芝居が素晴らしい!