西暦の桁が1,900年代から2,000年代になるということで世間は騒いでいた。
コンピュータが大規模に機能しなくなるんじゃないか、と言われていたからだ。
2,000年問題である。
いよいよ1,999年が終わって明日には2,000年になる。
丁度僕たちは西暦の大台の切り替わりをまたぐことになる。
でも、21世紀は2,001年からなので再来年だ。ややこしい。
新年は世の中に大きなトラブルは起きないだろう。
そんなことより、僕の関心事はハチロクの車高調だった。
あと2週間!おっしゃ!
今日は大晦日だ。
PM11:00に金山の下の駐車場に3人で集まる約束がしてある。
そして、今はPM10:55だ。
僕は遅刻魔なのに金山に集合の時はなぜか少し早めに来られる。
ブォー‥と、白い180SXが入って来た。
来た来た。
岡ちゃん 「どもっす。」
坂本 「やぁ。」
続いて黒いR34が入って来た。
嶋田 「ちーっす。」
坂本 「やぁ。」
岡ちゃん 「どもっ。」
これから3人で金山で初詣をすることになっている。
去年も初詣は3人でここだった。
駐車場から歩いて下って行った。
境内は露店がズラリと出ており、中央部には既に参拝をする人たちの行列が出来ていた。
嶋田 「最近どうよ。」
岡ちゃん 「坂本君、広告代理店に行き始めたんでしょ?」
坂本 「広告代理店に入社したよ。僕は面接の受けが良くてどうやら新人5人中1番で選ばれたらしいよ。今は毎日残業しまくりラクリマクリスティーで、朝から午後11時まで仕事するのが当たり前になってるよ。疲れるんだよねー。正社員は大変だよ。」
岡ちゃん 「ふーん。」
空気がシラケたのを感じた。
岡ちゃんは自慢を極端に嫌う。
だから、土屋圭市を岡ちゃんは好きじゃない。
大口をたたくのも嫌う傾向があり、そして、ダメ自慢も岡ちゃんは嫌うことを確信した。
嶋田 「大変だな。」
坂本 「大変だよ。でも、これで来年、車高調が買えるよ。」
午前0:00になって参拝の列が進みだした。
僕たちは参拝後、ハチロクで足利の山にドライブに行った。
足利の山から初日の出を3人で見た。
去年は3人とも呑龍様に〝事故らずに金山の走り屋ができますよーに〟と願ったはずだった。
金山の走り屋をしているのは僕だけだ。
僕はお金が無いので『事故らないこと』を第一に掲げて走っている。
しかし、雨の日のドリフト走りでは小さなコースアウトや軽くガードレールに擦ることは数回あった。
来年早々にハチロクと僕は飛躍していく、と思っている。
呑龍様、僕をお守りいただきまして、ありがとうございます。