しばらく前に「インド占星術で識る英知 星にあらわれる覚者の人生」という本を買いました。
僕はいかがわしげな宗教には特に用は無いのですが、世界の真理とか法則を解き明かしているような古代の叡智には惹かれる性質(タチ)なんです。で、プリミティブ(原始的)なキリスト教とか仏教とか道教・仙道、あと日本で言えば古神道なんかには、そうした根本的な宇宙の真実が秘められているような気がして、時々ふっとそのテの本を手にとってみたりします。
とはいえ、宗教書が本棚に並ぶのは好きじゃないので、普段は内容に特別興味を惹くものがなければ買いません。今回この本を買ったのは、「仏教という世界三大宗教の始祖たる“お釈迦様”の生年月日時を元に占星術的読解が施されている」からです。また、中を読んでみるとわかりますが、仏教観に基づく占星術の見方が記されていて個人的な関心を惹かれました。
ただ、惜しむらくは原書にあるという占星術に関する記述の多くが割愛されてしまっているということです。占星術をやっている人間としては、その辺の所がカットされてしまったのはショックですが、まあ一般書ということもあり仕方ないのでしょうね。残念ですが。いつか原書を手に入れようかな。
で、内容はそれなりに楽しめたのですが、占星術をたしなむ一個人としては、この本で採用されている出生データに納得がいきませんでした。・・・はっきりいって、どうもでき過ぎているというか「はめ込み過ぎている」感じがしたのです。
占星術で個人の生年月日および時間の調査をする際、当然ながら本人の人物像と重ね合わせて検討します。現在生きている人を検討するぶんには直接会ったり、本人を知っている人から話を聞いたりできるわけですが、いかんせんお釈迦様に関しては実像を見知っている人はいませんし、文献自体にも多くの脚色や伝説化がなされていたりするので、正直はっきりしないのです。
でも、この本の記述を読むと、さもお釈迦様が「そのような人であった」といわんばかりなので、そこに違和感を覚えてしまったのです。
だから評論すると、仏教的観点による占星術という面は斬新で評価していますが、ことお釈迦様の出生データに関しては真正だと信じることはできませんでした。なので、ここは僕自身でお釈迦様の生年月日時および各重要な出来事の時期を調べようと思い立ちました。(とはいいつつ実際には以前にも一度だけ調べてみたことがあるのですが、その時のはイマイチ納得がいっていなくて、却下)
それで、実はお釈迦様は誕生日はおろか、生年さえも史実的および学術的にも確定されていないのです・・・。諸説紛糾とは多分こういうことを言うんだと思います。まあ、ただ日本の説にあるような100年の違いはともかくとして、英語圏を始めたとした海外においては10数年以内の大枠的な時期特定がなされていることを鑑みれば、それなりの希望はもてます。(なお、この生年や没年に関する論争は「仏滅年代論」と呼ばれています。)
ついでに言うと、日本を含めた東(東南)アジア圏では旧暦4月8日とされている誕生日も、南伝仏教の国では旧暦15日――およそ満月の頃としていて異なります。結局のところ、確実な証拠が一切ない状況…これは占星術的にはかなりのバッド・コンディションです。
でも、幾つかのターニングポイントとなるイベントが起きた歳が概ね分かっているので(正妻との結婚が17歳頃、出家したのが29歳頃、悟りを得たのが35歳頃、入滅が80歳頃とか。もっともこれもネットの資料や文献によって1年とか10年!の誤差があるわけですが)、そうしたデータを使って推測に役立てることはできます。
◎「仏滅年代論」に終止符を打て!(・・・ればいいんだけど)
――で、前置きはこれくらいにして。
なんだかんだと試行錯誤した結果、僕は次に示すデータをお釈迦様の生年月日時と考えることにしました。もちろんこれは、学術的な文献調査とか史実考証を綿密にした結果というわけではないので、多分に個人的な独断と偏見によっています(たかだか2~3日で推測したものですし)。
だから、読者の皆さんは、ここに書かれているデータが本当だとは思わないで下さいね。何度も言いますが、これは単に個人的な見解に過ぎませんので。
・・・でも、願わくば、これが真正のデータに近いものであってほしいとは思います。そうであれば、素人目に見て「仏滅年代論」のような外面的な内容にこだわっている一部の学者さん達が、もっと仏教の内奥に迫る研究なり探求ができるようになるでしょうし、時代考証も更に進展させられる可能性が出てくるでしょうから。
☆僕(C・I)が考えるお釈迦様の生年月日時
名前:ゴータマ・シッダッタ、またはガウタマ・シッダールタ(パーリ語読みとサンスクリット語読みで異なるようです。)
性別:男性
出生年月日時&曜日:紀元前565(-564※)年5月18日午前11時01分、水曜日
出生地:ネパールのルンビニー 27N28, 83E16(ST +5:30UTC) → 標準時との経度による時差:+3分(184″)、日本標準時とは3:30差
均時差:+9分(8'56″) → 真太陽時(=時差+均時差):11時13分
旧暦換算:丙申年四月七日午刻 → 時間易卦:雷火豊九三
(※追記:後日、再考した記事も書いています。
「お釈迦様の生年月日時の再考察」「お釈迦様の生年月日時の再考察~後編~」)
※西暦0年を表記するかどうかで変わる。天文学的な算出では西暦0年を含めるため上記のように1年ずれる。一般的には西暦(AC)1年の前年は紀元前(BC)1年。基本的に「-(マイナス)」を付けて表記する際は天文学的表記法のようだけど、なぜかソフトによってマチマチなので、紀元前を含む考証には事前に確認が必要。
脚注:グレゴリオ暦とユリウス暦
太陽暦(西暦)にはグレゴリオ暦とユリウス暦というのが混在していて、現在はグレゴリオ暦ですが、ある期間から前はユリウス暦が使われていました。この両暦の日数の差は蓄積された年によって異なります。
ちなみに、今回の紀元前5世紀辺りでは6日ほどの差があります。天文・占星術・暦などの各ソフトによって「混合型」か「グレゴリオ暦で統一」かが分かれているので、確かめておかないと日付の表示が違うことに混乱してしまう恐れがあります。
「Astrolog32」の場合では、「グレゴリオ暦+ユリウス暦」なので5月18日が24日になっていますが、上記の理由から間違いではありません。
※惑星やハウスなどの度数位置について
普段の僕は「Astrolog32」と「Stargazer」を併用しているのですが、こと古代の天文事象をチェックしようとすると、二つのソフトの間で「時刻は同じでも異なった度数」が出てきます。使用している中での個人的な見解としては「Stargazer」の天文暦が正しいのではないかと思っていますが、天体位置などの計算法については疎いため正確なところは判りません。
★以下、参考資料(個人的には専門外)
四柱干支:丙申年癸巳月甲戌日庚午時
備考:立夏より10°44′(11d6h48m)後
立運:大運順行の生まれなので次の芒種まで19°16′(20d5h39m)。
これを3で割るとおよそ6年と4ヶ月。
0~5歳 癸巳 印綬 病
6~15歳 甲午 比肩 死
16~25歳 乙未 劫財 墓
26~35歳 丙申 食神 絶
36~45歳 丁酉 傷官 胎
46~55歳 戊戌 偏財 養
56~65歳 己亥 正財 長生
66~75歳 庚子 偏官 沐浴
76~85歳 辛丑 正官 冠帯
紫微斗数:・・・たぶん「月朗天門格」ではないかと。
平 天機化権 地劫 廟 天空 廟 禄存 <62~71> |
廟 紫微 羊 <72~81> |
左輔 右弼 <82~91> |
得 破軍 陥 火星 <92~101> |
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癸巳 | 遷移宮 | 甲午 | 疾厄宮 | 乙未 | 財帛宮 | 丙申 | 子女宮 |
廟 七殺 陥 文昌化科 陥 鈴星 陥 陀羅 <52~61> |
|
天鉞 <102~101> |
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壬辰 | 奴僕宮 | 丁酉 | 夫妻宮 | ||||
廟 太陽 廟 天梁 <42~51> |
利 廉貞化忌 廟 天府 陥 文曲 <112~121> |
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辛卯 | 官禄宮 | 戊戌 | 兄弟宮 | ||||
得 武曲 廟 天相 <32~41> |
不 天同 不 巨門化禄 <22~31> |
旺 貪狼 <12~21> |
廟 太陰 天魁 <2~11> |
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庚寅 | 田宅宮 | 辛丑 | 福徳宮 | 庚子 | 父母宮 | 己亥 | 命宮・身 |
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とりあえず、今は出生データのみの掲載です。
もう少し検証したら、次回、ターニン・グポイントとなった出来事についても推定時期をUPしたいと思います。
→「続:「僕の考えるお釈迦様の生年月日時」」
*参考リンク
「Wikipedia 釈迦(日本語版)」おなじく「英語版」、「中国版」
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