※注意:
この記事は閏月に関する理解が浅かった頃のものであり、途中の画像を含めて一般の考え方と異なっています。そのことは最後の追記の中でも触れています
今日は旧暦、正確には太陰太陽暦について書こうと思います。
日本で現在使われている旧暦は、かつて天保暦と呼ばれた暦の延長物で、それが現代の天文観測技術によって補われたものになっています。そして、この現行の旧暦作成方法は「定朔定気法」と呼ばれています。
方法としては、天文計算により正確に新月(朔)の日時を求め(=定朔)、さらに黄道を均等に空間分割(角度按分)して二十四節気を求めて(=定気)、その両者の関係を幾つかの「定義」によって暦を作成するものとなっています。
しかし、それ以前の中国そして日本を問わず改変され続けてきた暦では、平気法と呼ばれる方式が採用されてきました。平気法は恒気法または常気法とも言われます。また、平気法にも「定朔平気法」と「平朔平気法」という種類があります。
先にも述べたように、定朔はその時々の太陽と月(ともに視黄経)の正確な位置計算に基づくものですが、一方の平朔は太陽・月ともに平均黄経を元に計算します。
定気と平気も同様の概念で、定気では二十四節気の各分点の日時を正確に求めますが、他方の平気では冬至から次の冬至までの期間の長さを時間分割します。そのため、冬至以外の節気および中気の日時が実際とは数日ずれてきます。
簡単に言えば、空間すなわち天宮上の角度をモノサシにするか、あるいは決められた経過時間をモノサシにするかによって暦の内容が変わるわけです。
・・・いきなり小難しい話から入ってしまったので退屈ですよね
そんなわけで、今日は現行の「定朔定気法」による旧暦ではなく、「定朔平気(恒気)法」に基づく近年の太陰太陽暦を考えてみました。百聞は一見に如かず、まずは作成した表を見てください。
※1/26/2009 2004年分の表と文章を追加
なぜ、04年・06年・09年かと言うと、これらの年には閏月が挿入されるため、一般的な定朔定気法下の旧暦と比較しやすいからです。
旧暦――太陰太陽暦における閏(うるう)とは、グレゴリオ暦での2月29日のような4年に一度の一日だけのものではなく、約3年に一度のペースで差し込まれ、その期間は一ヶ月にも及びます。言い換えれば、およそ3年に一回の割合で一年が13ヶ月になるわけです。
そして、この閏月が一年の「どこ」に挿入されるかが、定気法によるものと平気法(恒気法)によるものとでは異なることがあるのです。というのも、それぞれに用いられる値にはズレが生じるためです。これらは主に地球の自転と公転に由来するのですが、ここでは込み入った話をするつもりはありません。単に、各々には計算方法に起因する差異があると認識してくれさえすれば話は進められますので。
それで上の表をご覧頂くとお分かりのように、2004年には閏十二月が、2006年には閏九月が、2009年には閏五月がありますね。・・・・・・※ページ下部にて追記
実は、定朔定気法による現行の旧暦の場合と比べると、2004年と2006年の閏月が一致していません(2009年は定気・平気ともに閏五月)。一般的には2004年は閏二月、2006年は閏七月が来るのですが、平気法の場合では閏十二月と閏月は九月。
西暦年 | 定気法 | 平気(恒気)法 |
2004年 | 閏二月(3/21-4/18) | 2003年 |
2006年 | 閏七月(8/24-9/21) | 閏九月(10/22-11/20) |
2009年 | 閏五月(6/23-7/21) | 閏五月(6/23-7/21) |
そして、こうなると東洋占術に用いる際にも月が変わってきます。例えば紫微斗数や易で旧暦を用いる時などにです。
今はまだ検証を始めたばかりで、占術的な観点から見てどちらが適しているのか判断できる状態にありませんが、2006年のその期間におけるデータも幾つか得ているので、まずはそれらを考察してみようと思っています。それができたら、とりあえず中間報告として私見を述べたいと考えています。
ではでは~
*** 今日の記事を書くに当たり、参考にしたサイト様 ***
「suchowan's Home Page」内の「中国の暦について」。
「旧暦の仕組み」
「太陽の黄経と地心距離」
「Wikipedia 太陰太陽暦」 同様に「定気法」、「平気法」、「旧暦2033年問題」
「西暦2033年問題」
「暦と占い工房 MoonLABO 天文・暦・占い資料館」(計算データを使わせて頂きました)
「2006年の平気法による旧暦について」、「太陰太陽暦の仕組み (平気法)」
(この二つ、「江戸で遊ぼう???CADで遊ぼう!!!」の「江戸で遊ぼう」内のページにあります。)
P.S.
・・・関係ないけど、今日は寒かった~。少しの間だったけどが降りました。
2017/07/11 追記: 閏月の挿入について
この記事では2004年のところで閏12月、2006年のところで閏月9月としていますが、実際の旧暦の作り方だと、中気日と新月の日が同じ場合はその日を翌月の一日とするため、月名が変わってきます。当時の僕は、その辺のところをちゃんと把握していなかったようです。すると、2004年のところは2003年の閏11月、2006年のところは閏7月となり、この記事の趣旨で言えば、2003年~2004年の閏月のみが定気法と平気法とで違うということになりそうです。
ただ、実際の占いでは、一般的な旧暦を使うのが良いのか、平気法による旧暦がいいのか、はたまた、この記事で見たような中気と朔の瞬間を時間まで鑑みて月名を決めるのが良いのかなど、改めて考えてみる余地はあるように感じます。
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