With the I Ching

易経や四柱推命、暦、占星術などの運命学の記事がメインです。

Fare Thee Well

2013-05-31 23:21:00 | 音楽

10,000miles」の記事にALOAH-TICHOOさんから「歌詞の訳と解説を下さい」とのリクエストがあったので、やってみました。
(歌詞に訳を付けるのは初めてなので、新しい経験でした。)

用いた歌詞はMary Chapin CarpenterさんのCDに収録されているものですが、これは古くからカバーやアレンジされ続けている曲らしく(参照:「Fare Thee Well (song)」)、例えば現代でも、ボブ・ディランのFarewellという曲中に「Farewell to you, my own true love; I am going far away.」とあります。

Farewell あるいは、ここでの Fare thee well というのは「お別れ(さよなら)、元気でね、幸あれ」の意味です。
一方、これが Fare-thee-well になると、「完璧、完全、最大限」みたいな意味になるそうです。 

元々は旅立つ恋人との別れを歌ったものらしく、ここではそれに沿った訳を付けました。
ただ、この曲には別の意味もあるように感じられるので、そのことについても後で触れます。

Mary Chapin Carpenter - 10,000 miles

使われている写真も美しいものばかりなので、全画面で観ることを推奨します。
 

**************************************************************

"Fare Thee Well" (or "Ten Thousand Miles") / さようなら(一万マイル)

Fare thee well / さようなら
My own true love / 私の愛する人
Farewell for a while / 少しの間のお別れ
I'm going away / 私はいなくなるけれど、
But I'll be back / いつか戻ってくるわ
Though I go 10,000 miles / たとえ一万マイル離れようとも

10,000 miles / 遥か彼方…
My own true love / 愛しいあなた
10,000 miles or more / 一万マイル、いえそれ以上でも
The rocks may melt / 岩は溶けて
And the seas may burn / 海も干上がるかもしれないわ
If I should not return / 私が帰って来ないのなら

Oh don't you see / ああ、あなたは気がついていないの?
That lonesome dove / あの孤独なハトに
Sitting on an ivy tree / ツタに覆われた木に止まっているわ
She's weeping for / 彼女は涙を流しているの
Her own true love / 愛する人を想ってね
As I shall weep for mine / 私が悲しんでいるから…

Oh come ye back / ああ、帰ってきて
My own true love / 愛しい人
And stay a while with me / しばらく一緒にいましょう
If I had a friend / 私に心の許せる人がいたとすれば
All on this earth / この世界で
You've been a friend to me / あなたがずっとそうだったのよ

**************************************************************


岩が溶けたり、海が焼けて蒸発するほど恋焦がれる経験をすることは稀かもしれませんが、
誰しも、それと同じくらい愛するものを想うことはあります。

それは家族や、この歌にあるように恋人や友人かもしれないし、
(彦星と織姫の物語のように遠距離や何かの理由で滅多に会うことができない、みたいな)
あるいは、長く一緒に過ごしてきたペット、動物達かもしれません。
曲中ではハトが同情して泣いて(鳴いて)いるかのように表現されています。 

僕自身はどうかと言うと、一つには愛犬マイケルのことが思い出されます。
というのは、前回この曲の記事を書いた時、4月の終わりに18年を共に過ごした愛犬を失ったからです。
(「さよなら、マイケル。」)

悲しみは大きくて、とてもすぐには立ち直れませんでした。
そして、その後しばらくして音楽を聴きながら堤防沿いを歩くようになったのですが、
その時に何度も聴いて印象に残ったのが、この曲でした。 

折りしも東日本大震災で、大勢の方が愛する人達を亡くした時期でした。
事情は異なりますが、僕も愛犬の死を通じて集合的な悲しみを共有していたように思います。
きっとマイケルは、そのようにして僕ら家族に大きな気づきと愛を遺してくれたのではないかと今では考えています。

ところで、Youtubeのリンク先のコメント欄を読むと、
この曲を葬式の時に使いたいとか、この曲を聴くと亡くなった誰々を想い出す・・・といった書き込みが見られます。
人それぞれに想いを馳せ、偲ぶ相手がいて、その気持ちが、かけがえのない絆を作り出している。 

最愛の者達との生別・死別の悲しみ、
世界のどこか遠くで暮らしているであろう我が子を想う親の心、
遥か彼方の地へと散り散りになった、かつての仲間達、
生涯を越えて、魂と魂で結び付いたソウルメイトやツインソウルの絆、
神と人との間に交わされた約束の地への望郷の念 

・・・・・・

この曲を聴いて、どんな光景が脳裏を過ぎり、どんな想いが心に去来するかは一人一人違うと思います。
大切な思い出を懐かしむのも素敵なことですし、悲しみを押さえ込まずに感じ尽くすことも時に必要かもしれません。
愛する者への大切な想いを胸に抱きながら、存分に歌声とメロディーに心を預けてみましょう。

それは次第に励ますように明るくなり、聴く者に前進する気力をもたらした後、
最後には、柔らかな翼ではためくかのように、心を安らかな大地に着地させてくれます。

 



コメントを投稿