やっかいな患者

一ヶ月ほど前に転院してきた患者さんは初老の男性。

これがまた、驚くほどに甘えん坊なのでＲ。

詰め所に一番近い重症部屋にいるからスタッフが絶えずウロウロするのに対し

イチイチ声をかけてくる。

『　看護婦さぁ～ん、○○してくださぁい　』

○○は　たわいもないコトであるのだが哀れっぽい声で毎度毎度『　看護婦さぁん　』とやられては

こちらも人間。いい加減うんざりしてくる。

これを私が愚痴ると主人は　『　珍しいな。患者の愚痴を言うなんて　』

この患者だけはイヤ！なのよ　


寝たきりでいるので褥創（床ずれ）もひどくなってきた。

うちの階は褥創が殆どないことで優秀な階だったのだが、スタッフの叱咤激励にも のらりくらり。

甘えん坊でまるで動こうとしないし体位変換を嫌がってすぐに背中の枕を外し、好きな形で寝ているので　まるで いたちごっこだ。

嫌いと言いながらＤｒ指示の固まりかけた足の曲げ伸ばし運動をさせるのはいつも私。

案外『　痛いよ、痛いよ！　　』　と言うのを楽しんでいるのかも　・・・ウン

昨夜の夜勤でいつものように運動をさせていると　

『　イタイ イタイ　看護婦さん、ダイキライ！！』と宣った。

「あら。　私はＭさんが大好きよ　」笑顔で言うと　『　え 』と真っ赤になっている。

そうして素直になって『　こっちの足は最近そんなに痛くなくなったヨ　』と言う。

おお。成果が出てきたかしら　

最初は鈍かった腕の方の動きも最近はスムーズだ。足も今にきっと。。

嬉しい　　　元気になれ　

早く元気になってベッドを抜け出して　褥創なんかふっとばせ

嗚呼、またひとり　

甘えん坊の・・・可愛くてたまらない　やっかいな患者が増えちゃったなぁ・・