浅田次郎の現代物。
USA青年が恋人に結婚の条件として日本を自分の目で観てきて、と言われて東京、京都、別府、釧路を旅する。
主人公の青年は、海軍提督であった祖父と祖母に育てられた。祖父は大の日本嫌いであったが、恋人は日本の文化に夢中。
日本へやってきた青年は、日本文化の素晴らしさ、日本人の親切さ、繊細さ、おもいやりに感動する。
浅田次郎は文章が上手。
そして、コミカルタッチなのでとても読みやすい。
おまけに日本礼讃が続くので読んでいて気持ちが良い。
しかし・・・・ニューヨークで働くソーシャライツ(socialite; 上流社会のお金持ち)がこれほど無垢かね。
恋人がどうして、これほどまでに日本びいきなのか、どうして主人公を気に入っているのか、最後まで書かれていない。
最後に明かされる主人公の出自や父母との別離のわけも克明に書かれているわけではない。
まあ、楽しく読めた。