ティム・バートン

ティム・バートン(Tim Burton/映画監督)に関する情報・感想をつづるブログ [シネストック別館]

「ピーウィーの大冒険」 解説

2006-07-03 00:01:00 | 「ピーウィーの大冒険」
 業界内に『フランケンウィニー』の評判が広がると、ついにバートンにも劇場長編デビューのチャンスが到来。当時、子供向け番組で大受けしていたコメディアン、ピーウィー・ハーマン(本名ポール・ルーベンス)の人気にあやかった劇映画が企画され、当時26歳のバートンに白羽の矢が立ったのだ。その経緯には、諸説あり、本人も「当時のことは、さっぱり分からない」と振り返っている。企画段階からルーベンス側の仕切りだったが、すでに出来上がった素材を料理するだけ、という状況が新人監督にとっては好都合だったのか、若きバートンの自由奔放なイメージが、随所に散りばめられている点がとても興味深い。“コドモ大人”な二人が、ばっちり意気投合したのかもしれない。
 行方不明になった自転車を探し求め、全米を縦断するピーウィーの冒険談。ナンセンスな笑いの連続は、好き嫌いがハッキリ分かれそうだが、オモチャ箱をひっくり返したような、色鮮やかでガジェット満載の映像世界は、今観ても、とても楽しい。特に、妖怪に変身するオバサン、自転車を食ってしまうゴジラ似の怪獣などが、ストップモーション・アニメで描かれており、ファンには嬉しい限りだ。また「走り出したら、止まらない」というピーウィーの異常な執着心は、図らずも『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』『エド・ウッド』に共通している。ちなみに、ポール・ルーベンスは1991年、性的スキャンダルが発覚し、完全にフェードアウト。そんな彼に対して、バートンは『バットマン リターンズ』でチョイ役を与えるなど、“恩返し”している。
 最大の注目点は、音楽をダニー・エルフマンが担当していることだ。以後、長く続くことになるバートン×エルフマンの蜜月は、今作でスタートしたのだった。


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