ファン待望の続編は、キャラクターたちの内面にディープ&ダークに迫った、まさにバートン流エンターテインメントの極み。前作以上に屈折した心理描写が、ドロドロした物語を演出する。開始早々に気づくのが、前作で主人公ブルース・ウェインと恋に落ちたはずのヴィッキー・ベールの不在。な、なんとあの二人は破局していたのだ。ウェインいわく「二重生活を送る自分の苦悩を理解できなかった」そうで、今も未練タラタラ。地位も名誉も富も持ち合わせているのに、バットマンであるがゆえ、決して幸せになれない、というヒーローらしからぬ悲劇性が、早くも作品に大きな影を落としている。
が、これは序の口。さらに可哀相な悪役キャラクターが、二人も登場するから大変だ。まずは、醜い姿ゆえ生まれてすぐに捨てられ、生涯を地下で過ごした男、ペンギン。そして、偶然、組織の悪巧みを知ったために殺され、直後に不思議な力で甦った女、キャットウーマンだ。どちらも社会への不公平感と復讐心がハンパなく、その根の深さは、バットマン以上である。バートンらしいのは、この二人の悪役に対して、愛情にも似たシンパシーを抱き、もはや誰が悪役なのか分からなくなってしまう点。一方、黒幕にまんまと乗せられたペンギンが、悲劇の人として祭り上げられる構図からは、“普通の人々”の偽善が残酷なまでに浮き彫りになる。バットマンが倒すべき敵は、一体誰なのか?
クライマックスに向けて、アクション大作らしい盛り上がりを見せながら、どうにも拭いきれない「物悲しさ」が付きまとうのが、今作最大の特徴だ。楽しいのに、なぜか悲しい……この感覚は、まるで昭和時代のサーカス団を思わせる。バットマンもペンギンもキャットウーマンも、本当の気持ちを仮面で押し殺すピエロなのだ。
が、これは序の口。さらに可哀相な悪役キャラクターが、二人も登場するから大変だ。まずは、醜い姿ゆえ生まれてすぐに捨てられ、生涯を地下で過ごした男、ペンギン。そして、偶然、組織の悪巧みを知ったために殺され、直後に不思議な力で甦った女、キャットウーマンだ。どちらも社会への不公平感と復讐心がハンパなく、その根の深さは、バットマン以上である。バートンらしいのは、この二人の悪役に対して、愛情にも似たシンパシーを抱き、もはや誰が悪役なのか分からなくなってしまう点。一方、黒幕にまんまと乗せられたペンギンが、悲劇の人として祭り上げられる構図からは、“普通の人々”の偽善が残酷なまでに浮き彫りになる。バットマンが倒すべき敵は、一体誰なのか?
クライマックスに向けて、アクション大作らしい盛り上がりを見せながら、どうにも拭いきれない「物悲しさ」が付きまとうのが、今作最大の特徴だ。楽しいのに、なぜか悲しい……この感覚は、まるで昭和時代のサーカス団を思わせる。バットマンもペンギンもキャットウーマンも、本当の気持ちを仮面で押し殺すピエロなのだ。