goo blog サービス終了のお知らせ 

ティム・バートン

ティム・バートン(Tim Burton/映画監督)に関する情報・感想をつづるブログ [シネストック別館]

「エド・ウッド」 解説

2006-07-08 00:01:00 | 「エド・ウッド」
 第二のオーソン・ウェルズを目指しながら、54歳の若さでこの世を去り、死後“史上最悪の映画監督”という称号を受けてしまったエドワード・D・ウッド.JR。今作は、そんな不遇の映像作家が30代で手掛けた3本のZ級映画「グレンとグレンダ」「怪物の花嫁」「プラン9・フロム・アウタースペース」の製作に奮闘する姿を描いている。バートンにとっては、長編初のモノクロ作品で、伝記映画に初挑戦。さらに初めて、出演者にオスカーをもたらす(M・ランドーが助演賞受賞)など、“初めて”尽くしの作品となった。
 スポットが当てられるのは、若きエド・ウッドと彼の“アイドル”であるドラキュラ俳優、ベラ・ルゴシとの奇妙だが真摯な友情である。二人とも社会からの迫害を恐れながら(エドは女装趣味、ルゴシは麻薬中毒)、真価を認めてもらえないことに苦悩する。つまり、実在の人物ではあるが、極めてバートン的キャラクターなのだ。一見キテレツな登場人物たちを、決して笑い者にしないのは、バートンが彼らと深く共鳴しているからだ。ルゴシが老体に鞭打って、冷たい池で巨大ダコと格闘するシーンは、エド・ウッド映画のドタバタぶりを象徴すると同時に、二人の堅い友情が浮かび上がる、静かなクライマックスである。
 エドとルゴシの友情は、バートンとV・プライスの関係性を彷彿とさせる。が、それだけではない。周囲の雑音と闘いながら、創作活動に情熱を燃やし、作品に「忘れられない何か」を刻み込む点こそが、二人の映画監督の共通点だ。成功者/落伍者の違いなど、些細なもの。1950年代にバートンが成功できたか? 現代ならエドも受け入れられるのでは? そんな風にも思えてくる。映画監督として、自分を見つめ直した「第一期集大成」である。

「エド・ウッド」 データ

2006-07-08 00:00:00 | 「エド・ウッド」
STAFF ● 監督:ティム・バートン/製作:ティム・バートン、デニーズ・ディ・ノーヴィ/製作総指揮:マイケル・レーマン/脚本:スコット・アレクサンダー、ラリー・カラツェウスキー/撮影:ステファン・チャプスキー/音楽:ハワード・ショア/プロダクション・デザイン:トム・ダッフィールド/編集:クリス・リーベンゾン/衣装デザイン:コリーン・アトウッド

CAST ● ジョニー・デップ、マーティン・ランドー、サラ・ジェシカ・パーカー、パトリシア・アークエット、ジェフリー・ジョーンズ、G.D.・スプラドリン、ヴィンセント・ドノフリオ、ビル・マーレイ、マイク・スター、マックス・カセーラ、ブレント・ヒンクリー、リサ・マリー、ジョージ・“ジ・アニマル”・スティール

DATA ● 原題:ED WOOD/バートン/ディ・ノーヴィ・プロ作品/タッチストーン・ピクチャーズ提供/1994年/アメリカ映画・R指定/35mm/127分/ヴィスタ/白黒/ドルビーデジタル/米国公開:1994年9月30日/日本公開:1995年9月2日(ブエナビスタインターナショナルジャパン配給)/アカデミー賞メイクアップ賞、助演男優賞受賞/ゴールデングローブ賞助演男優賞受賞/ロサンゼルス批評家協会撮影賞、音楽賞、助演男優賞受賞/全米批評家協会撮影賞、助演男優賞受賞