監督三作目にあたる今作は、シェリー・デュヴァル、ダニエル・スターンといった“プロ”の俳優を起用した初の作品である。10歳の少年ヴィクター・フランケンシュタインが、交通事故で死んだ愛犬スパーキーを電気ショックで甦らせる。タイトルからも分かるように、そのモチーフは、ジェームズ・ホエール監督の「フランケンシュタイン」(31)だ。蘇生後のスパーキーは、体中に縫い目があり、首にはボルトが刺さっている。クライマックスには、燃え上がる風車が登場するし、スパーキーが一目ぼれする雌プードルの頭部は「フランケンシュタインの花嫁」(35)そっくりである。
飲んだ水が、縫い目から吹き出てしまうシーンは、可愛さと恐ろしさが同居していて、いかにもバートンらしい。そんなスパーキーの姿は、以後のバートン作品に登場するキャラクターを、早くも想起させる。エドワード・シザーハンズ(『シザーハンズ』)、キャットウーマン(『バットマン リターンズ』)、サリー(『ナイトメア・ビフォア・クリスマス)なども、その体は縫い目だらけである。
さらに重要なのは、バートン作品の裏テーマである「郊外地特有の居心地悪さ」がすでに描かれている点だ。排他的で偽善的なお隣さんの視線が、可愛いスパーキーを怪物に仕立て上げてしまう。そのストーリー構成が、『シザーハンズ』の原型であるのは言うまでもない。また、あの風車が立つミニゴルフ場は、出身地バーバンクの情景がベースになっている。その意味で、今作は単なる怪物映画へのオマージュに留まらない、バートンの精神的源泉が色濃く反映された、秀作だ。ディズニーらしいハッピーエンドは、ひょっとしたら不本意だったか?
飲んだ水が、縫い目から吹き出てしまうシーンは、可愛さと恐ろしさが同居していて、いかにもバートンらしい。そんなスパーキーの姿は、以後のバートン作品に登場するキャラクターを、早くも想起させる。エドワード・シザーハンズ(『シザーハンズ』)、キャットウーマン(『バットマン リターンズ』)、サリー(『ナイトメア・ビフォア・クリスマス)なども、その体は縫い目だらけである。
さらに重要なのは、バートン作品の裏テーマである「郊外地特有の居心地悪さ」がすでに描かれている点だ。排他的で偽善的なお隣さんの視線が、可愛いスパーキーを怪物に仕立て上げてしまう。そのストーリー構成が、『シザーハンズ』の原型であるのは言うまでもない。また、あの風車が立つミニゴルフ場は、出身地バーバンクの情景がベースになっている。その意味で、今作は単なる怪物映画へのオマージュに留まらない、バートンの精神的源泉が色濃く反映された、秀作だ。ディズニーらしいハッピーエンドは、ひょっとしたら不本意だったか?