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ティム・バートン

ティム・バートン(Tim Burton/映画監督)に関する情報・感想をつづるブログ [シネストック別館]

「スリーピー・ホロウ」 解説

2006-07-11 00:01:00 | 「スリーピー・ホロウ」
 原作は19世紀の作家ワシントン・アーヴィングによる古典ホラー「スリーピー・ホローの伝説」。18世紀末、郊外の村スリーピー・ホロウで起こった連続“首なし”殺人事件。その真相に迫るミステリーは、『セブン』の脚本家アンドリュー・ケヴィン・ウォーカーの脚色によって、容赦なく生首が飛び交う、かなり血生臭い内容になっている。主演はバートン作品、三度目の登板となるジョニー・デップ。魔術や迷信が信じられる時代にあって、客観的な事実を重んじる科学捜査官イカボットを演じている。一見、凛々しいが、かなりのビビリ性である上、トラウマに苦しむなど、ユニークな二面性が垣間見えるヒーロー像が、バートン作品ならでは。
 ゴシック美学の極みといえる映像世界が圧巻だ。どこか色褪せ、死臭さえ漂う村の情景に始まり、邪気に満ちた深森、妖術めいた生死の境界と、物語の舞台は暗~く、深~く広がっていく。美術が見どころのバートン作品群でも、一、二を争う完成度。セットデザイン、衣装はもちろん、撮影、照明も素晴らしい。『吸血鬼ドラキュラ』を彷彿とさせるオープニングから、クリストファー・リーの登場など、ホラー映画(ハマー・フィルム)へのオマージュも満載。クライマックスの風車大爆発は言わずもがな、か。趣味全開という点は、前作『マーズ・アタック!』に通じるが、謎解きミステリーとして見せきる演出手腕が光る。マニア受け/一般受けを両立させるバランス感覚が発揮された大傑作である。
 注目すべきは、ヒロイン像。『シザーハンズ』のウィノナ・ライダー同様、クリスティーナ・リッチの黒髪が見事なブロンドに染め上げられた。また、(元)恋人リサ・マリーが、主人公の母親役で登場。バートンにとって、まさに理想の女性像なのだろう。

「スリーピー・ホロウ」 データ

2006-07-11 00:00:00 | 「スリーピー・ホロウ」
STAFF ● 監督:ティム・バートン/製作:スコット・ルーディン、アダム・シュローダー/製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ、ラリー・フランコ/脚本:アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー/原案:ケヴィン・イエーガー、アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー/原作:ワシントン・アーヴィング/共同製作:ケヴィン・イエーガー/撮影:エマニュエル・ルベツキー/音楽:ダニー・エルフマン/プロダクション・デザイン:リック・ヘインリックス/衣装デザイン:コリーン・アトウッド/編集:クリス・リーベンソン

CAST ● ジョニー・デップ、クリスティーナ・リッチ、ミランダ・リチャードソン、マイケル・ガンボン、キャスパー・ヴァン・ディーン、イアン・マクダーミド、マイケル・ガフ、クリストファー・リー、ジェフリー・ジョーンズ、マーク・ピッカリング、リサ・マリー、クリストファー・ウォーケン、レイ・パーク(スタント)、ロブ・インチ(スタント)、マーティン・ランドー(ノー・クレジット)

DATA ● 原題:SLEEPY HOLLOW/スコット・ルーディン アメリカン・ゾエトロープ作品/マンダレイ・ピクチャーズ提供/1999年/アメリカ映画・R指定/35mm/111分(日本では106分)/ヴィスタ/カラー/DTS、ドルビーデジタル/米国公開:1999年11月19日/日本公開:2000年2月26日(日本ヘラルド配給)/ロサンゼルス批評家連盟賞美術賞受賞/ゴールデン・サテライト賞美術賞、撮影賞、衣装デザイン賞、作曲賞、音響賞受賞/アカデミー賞美術賞、撮影賞、衣装デザイン賞ノミネート