長年、バートンが暖めてきた企画は、ディズニー時代の同窓生(?)ヘンリー・セリック監督をはじめ、最高のスタッフ達によって珠玉の名作へと昇華した。最大の魅力は、キャラクター・デザインの素晴らしさだ。グロテスクだが可愛く、ダークだが陽気に、コミカルだが物悲しい。そんな二面性は、バートン作品が追求し続ける重要なテーマでもある。優れたデザインを最大限に表現し、その魅力を引き出すのは『ヴィンセント』と同じストップモーション・アニメ。手作り感あふれる、70分強の映像を作り出すのが、いかに緻密で過酷な作業であるかは、容易く想像できる。眼球のないジャック・スケリントンが、なぜ、あそこまでエモーショナルに訴えかけるのか。あの真っ黒な目に潜む感情と感傷は、もはや、魔法であり奇跡である。
クリスマスを乗っ取ろうとした、ハロウィン・タウンの哀れな王様の物語。純粋かつ闇雲な情熱を燃やしながら、誤解と迫害に晒されるヒーローの“光と闇”は、言うまでもなくバートン作品の真骨頂。また、ジャックがクリスマス・タウンで体験する高揚感は、季節感のない郊外に暮らしたバートン少年がハロウィンで味わったそれに似ているそうだ。祝日がもたらす不可視の“ワクワク感”は、D・エルフマンの楽曲によって無限の彼方へと広がる。バートンの分身であるジャックを献身的に支えるのが、縫い目だらけのサリーだ。その姿が、撮影中に出会ったという(元)恋人リサ・マリーにそっくりなのは、かなりロマンチックな偶然である(当然、デザインははるか昔に出来ていた)。さらに『シザーハンズ』『バットマン リターンズ』に続き、クリスマスが舞台になっているのも偶然か?
今作は、90年代最高のファンタジーであり、ストップモーション・アニメの歴史に燦然と輝く金字塔。そして、映画やアニメといった枠組みを超えた、唯一無比の芸術品である。
クリスマスを乗っ取ろうとした、ハロウィン・タウンの哀れな王様の物語。純粋かつ闇雲な情熱を燃やしながら、誤解と迫害に晒されるヒーローの“光と闇”は、言うまでもなくバートン作品の真骨頂。また、ジャックがクリスマス・タウンで体験する高揚感は、季節感のない郊外に暮らしたバートン少年がハロウィンで味わったそれに似ているそうだ。祝日がもたらす不可視の“ワクワク感”は、D・エルフマンの楽曲によって無限の彼方へと広がる。バートンの分身であるジャックを献身的に支えるのが、縫い目だらけのサリーだ。その姿が、撮影中に出会ったという(元)恋人リサ・マリーにそっくりなのは、かなりロマンチックな偶然である(当然、デザインははるか昔に出来ていた)。さらに『シザーハンズ』『バットマン リターンズ』に続き、クリスマスが舞台になっているのも偶然か?
今作は、90年代最高のファンタジーであり、ストップモーション・アニメの歴史に燦然と輝く金字塔。そして、映画やアニメといった枠組みを超えた、唯一無比の芸術品である。