goo blog サービス終了のお知らせ 

ティム・バートン

ティム・バートン(Tim Burton/映画監督)に関する情報・感想をつづるブログ [シネストック別館]

「ビッグ・フィッシュ」 解説

2006-07-13 00:01:00 | 「ビッグ・フィッシュ」
 1998年に出版されたダニエル・ウォレス著のベストセラーを映画化。当初はスピルバーグが監督候補に挙がっていた。“ほら吹き、ほら話”を意味するタイトルは、主人公エドワード・ブルームの虚実入り交じる破天荒な人生を象徴する。ストーリーの軸となるのは、父子の確執。死期が近づく父親エドワードの人生に隠された“真実”を、現実主義の息子ウィルが見つけようとするのだ。バートン色あふれるファンタスティックな映像美(父親の視点)と、これまでにないシビアな現実描写(息子の視線)が巧みに交錯しながら、微妙に、しかし確実に近づいていく父子の関係性を、ロマンチックに描いている。バートンの新境地というべき、感動的な人間ドラマ。どこか素朴な暖かさを感じさせるのも新鮮だ。
 同時に、効果的なキャスティングによって、「人間の二面性」という変わらぬテーマを追求している。E・マクレガーが若年期、A・フィニーが老年期のエドワードを演じるが、これは単なる時間経過の描写ではなく、一人の人間が持ちえる二面性を体現しているのだ(A・ローマン、J・ラングによる妻サンドラも然り)。また、常に姿かたちを変える“水”がモチーフになっており、やはり実体のつかみきれない人間の内面を見事に暗示している。
 それにしても、今作には、忘れがたい瞬間(シーン)が数え切れないほどある。特に、空想と現実が融解する、つまり父親と息子が和解するクライマックスは何度観ても、高揚してしまう。間違いなく「第二期集大成」と呼ぶにふさわしい傑作である。ちなみに、バートンは、今作撮影前に、実父を亡くし、完成後に、愛息が誕生している。映画そのままなのだ。
 『シザーハンズ』『エド・ウッド』に続く“エドワード三部作”の最終章という解釈も可能かな?

「ビッグ・フィッシュ」 データ

2006-07-13 00:00:00 | 「ビッグ・フィッシュ」
STAFF ● 監督:ティム・バートン/脚色:ジョン・オーガスト/原作:ダニエル・ウォレス『ビッグフィッシュ 父と息子のものがたり』(河出書房新社刊)/製作:リチャード・D・ザナック/製作:ブルース・コーエン&ダン・ジンクス/製作総指揮:アーン・L・シュミット/撮影監督:フィリップ・ルースロ, AFC/ASC/美術監督:デニス・ガスナー/編集:クリス・リーベンゾンA.C.E./衣装デザイナー:コリーン・アトウッド/音楽:ダニー・エルフマン

CAST ● ユアン・マクレガー、アルバート・フィニー、ビリー・クラダップ、ジェシカ・ラング、ヘレナ・ボナム・カーター、スティーブ・ブシュミ、ダニー・デビート、アリソン・ローマン、ロバート・ギローム、マリオン・コティヤール、マシュー・マグローリー、エイダ・タイ、アーリーン・タイ

DATA ● 原題:BIG FISH/コロンビア映画提供/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント配給/2003年/アメリカ映画・PG-13/125分/ビスタサイズ/ドルビー・SRD・SDDS/全米公開:2003年12月10日/日本公開:2004年5月15日(ソニー・ピクチャーズ配給)/アカデミー賞作曲賞ノミネート/ゴールデン・グローブ賞作品賞(コメディ/ミュージカル)、助演男優賞、音楽賞、歌曲賞ノミネート/英国アカデミー賞作品賞、助演男優賞、監督賞(デヴィッド・リーン賞)、脚色賞、プロダクションデザイン賞、メイクアップ&ヘアー賞、特殊視覚効果賞