ティム・バートン

ティム・バートン(Tim Burton/映画監督)に関する情報・感想をつづるブログ [シネストック別館]

「PLANET OF THE APES 猿の惑星」 解説

2006-07-12 00:01:00 | 「PLANET OF .../猿の惑星」
 あまりにも有名なSFクラシック『猿の惑星』(1968年)のリメイク。ただし、ストーリーや設定などは大きく異なり(むしろ、P・ブール著の原作に近いかも)、バートン自身も「リメイクではなく、リイマジネーションだ」とコメント。完全なオリジナル作品であることを強調している。R・ベイカーが手掛けた特殊メイク、「猿アカデミー」による徹底した演技指導、どこか東洋テイストな美術と衣装、バートン作品には珍しい重厚なアクションなど、映像面での見応えはたっぷりだが、結果的には、熱狂的なファンを満足させるには至らなかった。
 今作に欠けているのは、ずばり恐怖である。68年版に比べて「猿が意外とおバカで、人間が割と頭イイ」という設定ゆえ、支配者たる猿たちの言動が、文字通り“人間の猿マネ”にしか見えないのだ(ベースは南北戦争?)。だから、救世主が、人間を解放に導いても「それ以前に、革命が起こっていても不思議じゃないよね」という元も子もないツッコミが許されてしまう。泳げもしない猿のどこが怖いのか。M・ウォルバーグ(人間役)が、一番、猿に似てるっていうのも笑える…。
 バートンにとって、最大の収穫(?!)は、ヘレナ・ボナム=カーターとの出会いかもしれない。結果、究極のミューズであったはずのリサ・マリーと破局し、ヘレナとの交際がスタート。今後の方向性にも影響を与えるのでは、という憶測がファンの間で飛び交った。わずかな時間だが、猿メイクを施されたヘレナ・ボナム=カーターとリサ・マリーのツーショット・シーンがある。ちなみに、68年版へのオマージュとして、チャールトン・ヘストンが猿メイクで出演した(セード将軍の父親役)ほか、パウエル湖でロケ撮影が敢行されている。

「PLANET OF THE APES 猿の惑星」 データ

2006-07-12 00:00:00 | 「PLANET OF .../猿の惑星」
STAFF ● 監督:ティム・バートン/脚本:ウィリアム・ブロイルス・ジュニア、ローレンス・コナー、マーク・ローゼンタール/原作:ピエール・ブール/製作:リチャード・D・ザナック/製作総指揮:ラルフ・ウィンター/撮影:フィリップ・ルースロ, AFC/ASC/プロダクション・デザイナー:リック・ヘインリックス/編集:クリス・リーベンゾン, A.C.E./衣装デザイナー:コリーン・アトウッド/音楽:ダニー・エルフマン/特殊メイクアップ効果デザイン&クリエイト:リック・ベイカー/特殊視覚効果:インダストリアル・ライト&マジック

CAST ● マーク・ウォルバーグ、ティム・ロス、ヘレナ・ボナム=カーター、マイケル・クラーク・ダンカン、ポール・ジャマッティ、エステラ・ウォーレン、ケリー・ヒロユキ・タガワ、デイビッド・ワーナー、クリス・クリストファーソン、チャールトン・ヘストン

DATA ● 原題:PLANET OF THE APES/ザナック・カンパニー作品/20世紀フォックス提供/2001年/アメリカ映画・PG-13/120分/シネマスコープ/ドルビーSR・SRD・DTS・SDDS/全米公開:2001年7月28日/日本公開:2001年7月28日(日米同時公開 20世紀フォックス配給)/英国アカデミー賞衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアー賞ノミネート