ティム・バートン

ティム・バートン(Tim Burton/映画監督)に関する情報・感想をつづるブログ [シネストック別館]

「マーズ・アタック!」 解説

2006-07-10 00:01:00 | 「マーズ・アタック!」
 『エド・ウッド』で第一期集大成を迎えたバートンのもとに、脚本家ジョナサン・ジェムズが持ち込んだトレーディング・カード「マーズ・アタック!」に着想を得た作品。“カードの映画化”という前代未聞のプロジェクトに、過去最大級の7000万ドルが費やされたが、興収は4000万ドル弱と振るわず、批評家も前作とのギャップからか、厳しい反応を示した。が、彼のキャリアにおいて、一種の分岐点といえる作品であることは間違いない。その証拠が、タイトルである。これまでの作品(テレビは除く)が、すべて主人公の名前をタイトルに冠して、誤解と阻害に苦しむ一個人の苦悩を見つめてきたのとは対照的に、火星人襲来という一大イベントそのものにスポットを当て、それに翻弄される人間たちの姿を、断片的に面白おかしく描いているのだ。主人公不在であると同時に、バートンの趣味嗜好が全面に押し出されている。
 そんな一大イベントに花を添えるのが、過剰とも思える豪華なハリウッドスター軍団だ。ジャック・ニコルソンが一人二役演じるあたりは、二つの顔を持つジョーカー(『バッドマン』)のセルフ・パロディだったりするが、それ以上の意味はない……が、そんな無意味さこそ、今作の大きな魅力である。個人的には『ピーウィーの大冒険』、『ビートルジュース』あたりのドンチャン騒ぎが見事に復活していて嬉しい限りだ(焼かれた牛の群れが疾走するオープニングが最高!)。やりたい放題の火星人たちは、最新CGを駆使しながら、動きや質感にノスタルジーを感じさせるし、唯一人間(リサ・マリー)が演じた火星ガールも素晴らしい。マッチョな軍人や米大統領があっさり死に、ひ弱な青年や痴呆症の老婆が活躍する点は、いかにもバートン。

●個人的には、一番大好きですっ!!

「マーズ・アタック!」 データ

2006-07-10 00:00:00 | 「マーズ・アタック!」
STAFF ● 監督:ティム・バートン/製作:ティム・バートン、ラリー・J・フランコ、ポール・ディースン、マーク・S・ミラー/脚本:ジョナサン・ジェムズ、ティム・バートン(トップス社のトレーディング・カードに基づく)/撮影:ピーター・サスチツキー/音楽:ダニー・エルフマン/プロダクション・デザイン:ウィン・トーマス/編集:クリス・レーベンゾン/衣装デザイン:コリーン・アトウッド

CAST ● ジャック・ニコルソン、グレン・クロース、アネット・ベニング、ピアース・ブロスナン、ダニー・デヴィート、マーティン・ショート、サラ・ジェシカ・パーカー、マイケル・J・フォックス、ロッド・スタイガー、トム・ジョーンズ、ルーカス・ハース、ナタリー・ポートマン、ジム・ブラウン、リサ・マリー、パム・グリア、シルヴィア・シドニー、ジャック・ブラック、ジョー・ドン・ベイカー、ポール・ウィンフィールド、バーベット・シュローダー、イエジ・スコリモフスキ

DATA ● 原題:MARS ATTACKS!/ワーナー・ブラザース映画作品/1995年/アメリカ映画・PG-13指定/35mm/106分/シネスコ/カラー/ドルビーSRD、DTS、SDDS/米国公開:1996年12月13日/日本公開:1997年3月20日(ワーナー・ブラザース配給)/サターン賞作曲賞受賞