ティム・バートン

ティム・バートン(Tim Burton/映画監督)に関する情報・感想をつづるブログ [シネストック別館]

(解説3) 仮面舞踏会

2006-08-02 00:02:00 | 解説
 バートンが作り上げる登場人物たちは、そのほとんどが「仮面」を被っている。文字通りの仮面を被る『バットマン』を始め、特殊メイクによって、役者が素顔を隠す『ビートルジュース』『シザーハンズ』、女装が趣味だった映画監督『エド・ウッド』、空想話で自己演出する父親『ビッグ・フィッシュ』まで、そのスタイルは様々だ(おっと、ピーウィー・ハーマンも忘れちゃダメ)。注目すべきは、本来、正体や本性を「隠す」ためにある仮面によって、主人公たちが自己を「解放」させている点。誤解と迫害に晒されているからこそ、別人格になることで自由を勝ち取っているのだ。彼らには、皆、表と裏の顔がある。単純には割り切れない、人間の二面性は、安易なカテゴライズを嫌うバートンが常に追求している裏テーマでもある。また、仮面=特殊メイクの究極形として『PLANET OF THE APES/猿の惑星』のような作品もあるから、本当に面白い。
 そういえば『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』の主人公、ジャック・スケリントンは、自らハロウィン王の座を捨て、サンタクロースに変身することで、自分の夢を実現しようとした。ハロウィンもクリスマスも、アメリカ人にとって、おめでたい祝日であるが、季節感のないバーバンクに暮らしたバートン少年には、格段の思い入れがあるようだ(*1)。お祭りの扮装をすることで、日常生活を忘れ、自己を解放させる。その興奮と高揚が、大人になっても忘れられないのかもしれない。
*1:参考文献/「バートン・オン・バートン」(マーク・ソールベリー著/フィルムアート社発行)


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1 コメント

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Unknown (簡単)
2008-12-29 20:13:58
はじめまして、とても内容の濃いブログですね。
いろいろと拝見させていただきました。
また、拝見させていただきますので更新を
頑張ってください。