一
夜のとばりがおりるころ
私の瞳は静かに閉じられ
悲しい音色が聞こえてくる
暗闇の世界にこだまする
魂の叫び
私の心は開いていく
暗黒の世界こそなつかしい
私の故郷のにおいがしてくる
平和な世界
人はそれぞれに暗闇を背負い
黙して語らず
歩いていく方向に注意する
私に聞かせてくれ
あなたの魂を
そっとささやくように
そして私は理解するだろう
この世の不安と安楽の秘密を
一人たたずんで
二
朝焼けの空
朝日に照り映える川面
まぶしく輝く横顔
新しい音楽にさそわれて
光の舞が立ちあがる
心躍る瞬間
みずみずしい新緑におおわれて
起き上がる獣たちの影
誕生の季節
やさしい男女が一組
はじめて結ばれた
朝の気配
三
争うのではない
傷つけあうのでもない
たくましく伸びた手足を
踊らせるのだ
私一人が犠牲となって
踊り出すのだ
誰も笑いはしない
誰も驚きはしない
私の裸体は恥ずかしげもなく
人々の前にさらされ
たくましく伸びた手足が
踊り出すのだ
誰も不思議と黙して語らず
じっと目を見すえている
そして隠されたほんとうのリズムに
あわせてふるえだすのだ
四
どうだ聞こえてくるか
あの遠い光の影からやってくる
一人の小さな少年の声
歌ではないのだ
小さな少年の独り言なのだ
わからずにはいない
理解できるのだ大人達にも
誰にでも呼びかける声
誰にもささやかれる声
一生忘れられない
その細やかな声の音
寂しげな眼差し
誰でもないそれは私のことなのだ
私の声 私の眼差し
誰にでも呼びかける
一度聞いたら忘れはしないだろう
少年の日のすがしさ
天にも昇る心
五
もちろん誰も助けはしない
神さえもいない
ひとり歩くことができるのみだ
だが一人の歩みは万人の歩みと重なり
太い道をつくる
誰もが歩いていける道を
誰のものでもない
歩くもののためにある道
ひとり歩くもののためにある道
六
やっとわかったのだ
朝は誰にも明けていくものだと
光は万遍に照らすものだと
万人を助けるのは政治家ではない
清らかな一滴の水なのだ
それは遠い空から落ちてくる
そして人は一人で歩むことを知る
暗闇を背負った人々は
黙って通りすぎる
またしても帰ってくるのだ
暗黒の世界へ
そして一条の光が行く先を照らす
七
傷ついたのはおまえではない
血を流したのは私達なのだ
のどもと深く流しこんだ熱湯は
おまえを苦しめたのではなく
私を苦しめたのだ
苦しみうごめく虫けらのように
うつぶせたのは私だ
そして苦悩から解放される約束を
私に与えたのはあの人だ
ああその約束を待ちわびて
長い苦悩の中にいた
長い年月
私が得たのはうつろな約束ではない
そうだ空虚な約束事ではなかったはずだ
だが約束は約束にすぎない
またしてもさまよう日々がやってきて
暗黒の世界へと導くのだ
八
十分ではないか
やっと食うための術を得たのだ
それが十分ではなくても
やっと食えるだけのものであっても
九
そうだその日一日の感謝を表そう
満ち足りていようがそうでなかろうが
一日の日を平穏に無事に過ごしたということが
精神の奥底で清らかなめぐみとなる
今日のあなたはどうだったのか
今日の私も奇跡のように
いつもの私だった
そうだ奇跡だ
そして祈りが始まると
静かに手を合わせる人々がいる
私は黙って歩みを進ませ
喜びにあふれるのだ
十
一輪の花がある
それを私は胸にさす
それはあなたが私に贈ってくれたもの
花は大きな花びらを開いたまま
春がやってきて 野原一面に花を咲かす
それを手折って花輪をつくる
誰に贈るものかはわからない
誰のものでもない喜び
清らかな雪解けの流れだ
私の心を流れている水は
誰が手に汲んで飲むのかわからない
誰のものでもないうるおい
静かに手を合わすと
聞こえてくる静かな音色
それは少年の日の歌でもない
それは遠い日の子守歌
夜のとばりがおりるころ
私の瞳は静かに閉じられ
悲しい音色が聞こえてくる
暗闇の世界にこだまする
魂の叫び
私の心は開いていく
暗黒の世界こそなつかしい
私の故郷のにおいがしてくる
平和な世界
人はそれぞれに暗闇を背負い
黙して語らず
歩いていく方向に注意する
私に聞かせてくれ
あなたの魂を
そっとささやくように
そして私は理解するだろう
この世の不安と安楽の秘密を
一人たたずんで
二
朝焼けの空
朝日に照り映える川面
まぶしく輝く横顔
新しい音楽にさそわれて
光の舞が立ちあがる
心躍る瞬間
みずみずしい新緑におおわれて
起き上がる獣たちの影
誕生の季節
やさしい男女が一組
はじめて結ばれた
朝の気配
三
争うのではない
傷つけあうのでもない
たくましく伸びた手足を
踊らせるのだ
私一人が犠牲となって
踊り出すのだ
誰も笑いはしない
誰も驚きはしない
私の裸体は恥ずかしげもなく
人々の前にさらされ
たくましく伸びた手足が
踊り出すのだ
誰も不思議と黙して語らず
じっと目を見すえている
そして隠されたほんとうのリズムに
あわせてふるえだすのだ
四
どうだ聞こえてくるか
あの遠い光の影からやってくる
一人の小さな少年の声
歌ではないのだ
小さな少年の独り言なのだ
わからずにはいない
理解できるのだ大人達にも
誰にでも呼びかける声
誰にもささやかれる声
一生忘れられない
その細やかな声の音
寂しげな眼差し
誰でもないそれは私のことなのだ
私の声 私の眼差し
誰にでも呼びかける
一度聞いたら忘れはしないだろう
少年の日のすがしさ
天にも昇る心
五
もちろん誰も助けはしない
神さえもいない
ひとり歩くことができるのみだ
だが一人の歩みは万人の歩みと重なり
太い道をつくる
誰もが歩いていける道を
誰のものでもない
歩くもののためにある道
ひとり歩くもののためにある道
六
やっとわかったのだ
朝は誰にも明けていくものだと
光は万遍に照らすものだと
万人を助けるのは政治家ではない
清らかな一滴の水なのだ
それは遠い空から落ちてくる
そして人は一人で歩むことを知る
暗闇を背負った人々は
黙って通りすぎる
またしても帰ってくるのだ
暗黒の世界へ
そして一条の光が行く先を照らす
七
傷ついたのはおまえではない
血を流したのは私達なのだ
のどもと深く流しこんだ熱湯は
おまえを苦しめたのではなく
私を苦しめたのだ
苦しみうごめく虫けらのように
うつぶせたのは私だ
そして苦悩から解放される約束を
私に与えたのはあの人だ
ああその約束を待ちわびて
長い苦悩の中にいた
長い年月
私が得たのはうつろな約束ではない
そうだ空虚な約束事ではなかったはずだ
だが約束は約束にすぎない
またしてもさまよう日々がやってきて
暗黒の世界へと導くのだ
八
十分ではないか
やっと食うための術を得たのだ
それが十分ではなくても
やっと食えるだけのものであっても
九
そうだその日一日の感謝を表そう
満ち足りていようがそうでなかろうが
一日の日を平穏に無事に過ごしたということが
精神の奥底で清らかなめぐみとなる
今日のあなたはどうだったのか
今日の私も奇跡のように
いつもの私だった
そうだ奇跡だ
そして祈りが始まると
静かに手を合わせる人々がいる
私は黙って歩みを進ませ
喜びにあふれるのだ
十
一輪の花がある
それを私は胸にさす
それはあなたが私に贈ってくれたもの
花は大きな花びらを開いたまま
春がやってきて 野原一面に花を咲かす
それを手折って花輪をつくる
誰に贈るものかはわからない
誰のものでもない喜び
清らかな雪解けの流れだ
私の心を流れている水は
誰が手に汲んで飲むのかわからない
誰のものでもないうるおい
静かに手を合わすと
聞こえてくる静かな音色
それは少年の日の歌でもない
それは遠い日の子守歌
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