chuo1976

心のたねを言の葉として

「うつむく青年」   谷川俊太郎

2013-02-12 05:41:29 | 文学
「うつむく青年」   谷川俊太郎



うつむいて
うつむくことで
君は私に問いかける
私が何に命を賭けているかを

よれよれのレインコートと
ポケットからはみ出したカレーパンと
まっすぐな矢のような魂と
それしか持ってない者の烈しさで
それしか持とうとしない者の気軽さで

うつむいて
うつむくことで
君は自分を主張する
君が何に命を賭けているかを

そる必要もない
まばらな不精ひげと
子どものように
細く汚れた首筋と
鉛よりも重い現在と

そんな形に
自分で自分を追い詰めて

そんな夢に
自分で自分を組織して

うつむけば
うつむくことで
君は私に否という

否という君の言葉は聞こえないが
否という君の存在は私に見える

うつむいて
うつむくことで
君は生へと一歩踏み出す

初夏の陽はけやきの老樹に射していて
初夏の陽は君の頬にも射していて

君はそれには否とはいわない
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札幌国際芸術祭

 札幌市では、文化芸術が市民に親しまれ、心豊かな暮らしを支えるとともに、札幌の歴史・文化、自然環境、IT、デザインなど様々な資源をフルに活かした次代の新たな産業やライフスタイルを創出し、その魅力を世界へ強く発信していくために、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として、2014年7月~9月に札幌国際芸術祭を開催いたします。 http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/about-siaf