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サントリーホール

2017年03月11日 | その他
本日付の毎日新聞に、サントリーホールの音響設計に携わった豊田泰久さんのインタビューが掲載されています。



豊田さんにとってサントリーホールは「最初に担当したコンサートホール」だったそうで、「1986年にこのホールがオープンしてから約30年、デジタルオーディオが発達し、イヤホンでもとてもクリアな音を聞けるようになりました。だから、ホールにはリッチな響きとクリアな響きのたかいレベルでの両立が求められてきています。」(カギカッコ内は記事からの引用。以下同)客に実際にホールまで足を運んでもらうには「プラスアルファが必要です。それが何か、ここで勉強させてもらいました」と述べられています。
そのプラスアルファを具現化したのがヴィンヤード(葡萄畑)構造の客席であり、「前にも後ろにも席があり」「反対側に友人を見つければ、休憩時間や終演後に一緒にコーヒーを飲んだり、ディナーを楽しんだりしながら『いい演奏会だったね』と盛り上がれる」しかけでもあったといいます。

私事ですが、1986年当時私はさる広報会社に勤めており、その会社では(他部署で)サントリーホールのオープニングに関わる何かの業務を請け負っていました。その関係か、オープン前日に「急遽欠席の報告があった人の席を埋めるための人員」として若い女子であった私に「第一礼装で着席するように」という業務命令がくだり、ほんとうに幸運なことに前から2列目か3列目で記念演奏会を聞く機会を得ました。

会社の近くの美容室で振袖を着つけてもらい、タクシーでサントリーホールに参りましたら、そこはなんというか夢のような世界で、ロングドレスの「セレブ」の皆々様が優雅に黒塗りのハイヤーから続々と姿を見せられ、圧倒されたことでした。

演奏自体は全然覚えていませんが、予定されていたカラヤン氏が急病で来日できず、代わりに小澤征爾氏がベルリンフィルを振るというたいへんゴージャスな演奏会でした。何しろ前の方でしたので、マエストロのブレスの音まで聞こえました。

このとき、演奏に先立って(今思えば)佐治敬三社長が挨拶に立たれ、コンサートホールの開場は悲願であったこと、客席はヴィンヤードといって葡萄畑型であること、客席には木質材料を用い、とくに背もたれは場所によって高さを変え、反響を計算していること、などを話された記憶があります。

あれからもう30年もたってしまったかと思うと、じつに感慨深いものがあります。震災で吊天井が落ち被害を受けたミューザ川崎も、ヴィンヤードですね。シューボックス形にももちろんすばらしいホールはありますが、ステージを囲み込むこの形は、演奏者と一体感が感じられて幸せな気分になることは確かです。

ということで、雑談で失礼しました!

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