「掘ったら菓子!!」

こんにちは!ちづです!
ちょいホッタラカシ気味に(w)日々の日記などを綴っています。

757「恐るべし・・寄生生物フクロムシ」

2018年04月14日 13時33分11秒 | アメフラシ研究・他 海洋生物・仕事関係


フクロムシ・・聞いたことがある方は、なかなかいないのではないかな?

先日、水槽の中で発見しました。
カニに寄生する蔓脚類(甲殻類)の1種です。

発見したのはこちら↓

ヒライソガニの腹部 黄色い矢印がフクロムシの生殖器部分

赤い矢印は俗にいうフンドシ部分
雄は三角形、メスは半月型という種類が多いので、このフンドシで雌雄を区別できる場合が多いです。
↑オスのフンドシ





カニに寄生してフンドシの脇から生殖器を出すフクロムシ。

「世にも恐ろしい 心を操る寄生体」としても生物界では実は有名。

 フクロムシは分類学上、フジツボやカメノテに近い蔓脚類ですが、磯の岩などに付着することなく、カニなどに寄生することが知られています。

卵からかえったフクロムシの幼生はすぐに寄生せずに、海中を漂うプランクトンの生活をしますが、ケントロゴンと呼ばれる幼生になったメスはカニの体内に侵入。カニの体に根のような器官を張り巡らせて栄養を吸収する、まるで映画のエイリアン!

 カニから栄養をもらって十分に成長したメスは、カニの表皮を突き破って生殖器を体外に露出させます(それがエキステルナと言われる、この上の写真↑です)
この頃になるとメスに比べて極端に小さなフクロムシのオスがはみ出した生殖器に入り込み、生殖器の中の卵子に精子を与えて受精が成立。卵が産み落とされるという仕組みです。

一方、フクロムシに寄生されたカニがオスだった場合、脱皮するたびに外観がメスに変化していき、カニも自分がメスだ~と思い込まされてしまいます(寄生去勢)→栄養分を取られるだけでなく、自分の子孫も残せなくなってしまうということです。



寄生されたカニはメスであっても、そして自分をメスだと思いこまされたオスであっても、フクロムシの生殖器から出ていくケントロゴン(幼生)を自分の子と思い、放卵行動(幼生を放出するためにパタパタと仰ぎ出す)を行います。

カニの脳を、そして体を乗っ取るなんとも恐ろしい寄生生物・・。

生き物は、菌やバクテリア、ウイルスまで、その大きい小さいにかかわりなく、必ず自己の遺伝子を残していく道を見つけていきます。
その方法は狡猾で、そして芸術的でもあります。

いのちってすごい!!
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5 コメント

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Unknown (檸檬)
2018-04-16 23:56:16
生体 本能 神がかりで
神秘的 すごいな~思いますね。
人間がそれを知っていることも
凄いと思う。

人間界は常に感情や利害関係があるから 有り得ないね
だから面白いんだと思います。

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Unknown (ちづ)
2018-04-17 00:20:16
檸檬様・・まさにその通り!
自分の遺伝子を残すためには、どんな卑怯な手を使ってでも挑む。
いや、卑怯という概念は無い。勝ったものが勝利するのだ!そうやって生命は生き残る道を模索し続ける・・。
人間は甘いな、とふと思います。
それと同時に、人間でよかったとも思います。
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Unknown (イチゴ)
2018-04-17 10:02:40
私、自分の脳力がないので寄生虫になりたいです。才能ある方々に寄生し、生きていく!!いいかも・・・と思うおバカな私
返信する
寄生賛成〜〜 (檸檬)
2018-04-22 07:46:54
それ 賛成 (^^)
しっかり 丈夫そうなのにガッツリと
振り落とされない様に…
しがみつく。
だが⁈
お互いにそー思ってて、案外寄生されちゃったりして( ^ω^ )
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Unknown (ちづ)
2018-04-26 08:25:04
檸檬様~!おもしろすぎる~~!
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