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2022-05-16 20:45:40 | 生き方
<ひと物語>きょうだい児をケア 支援団体代表・岡田実和子さん

2022年5月16日 07時37分・東京新聞(埼玉)

 これまで見過ごされてきた「ヤングケアラー(若年介護者)」と同じく、困難に直面する子どもたちがいる。障害や重い病気がある兄弟姉妹を持つ「きょうだい児」だ。岡田実和子さん(48)は、その支援を続けて十年以上になる。
 障害のない長男(18)と、脳性まひで知的障害がある次男(16)の母。親の目はケアが必要な次男にどうしても向く。子どもは敏感だ。次男を病院に連れて行こうと、長男を幼稚園に先に送り届けると「僕も行く」と言って聞かなかった。
 まだ幼い次男の入院に付き添うため、長男を実家に託すことが何度もあった。「早く帰ってきて」。そう泣きつかれるたび、心が痛んだ。「何でこの子にもつらい思いをさせないといけないんだろう」
 もやもやが晴れたのが、四歳だった長男と参加したワークショップ。障害児を預けてくるのがルールで、一緒に昼ご飯を作り、ゲームを楽しんだ。親子二人きりで一日がかりの外出をするのは初めてだった。
 いつもは我慢する場面が多い長男はすこぶる機嫌が良い。その表情に「きょうだい児が親を独り占めする時間が必要」と痛感し、支援団体「ブレイブキッズ」を二〇〇九年に川口市内で立ち上げた。

 きょうだい児たちが同じ境遇の仲間と思い切り遊び回れるよう、ハロウィーンパーティーやスケート体験などのイベントを季節ごとに催す。日ごろの疲れを癒やすヨガ教室も、親を対象に毎月開いている。
 親にとっては、きょうだい児を育てる上での情報交換ができる貴重な場でもある。兄弟姉妹の障害をからかわれていじめられた、「俺なんていらないんでしょ」と愛情を感じてもらえない…。数多くの悩みに岡田さんは耳を傾けてきた。
 相談の中には、障害児のケアを担うきょうだい児の姿が見え隠れする。入浴介助やオムツ替えなどを「家族だから当然」と任せられていたり、将来について「私が死んだ後の面倒もお願い」と親から求められたりするケースだ。
 岡田さん自身、長男が進んで手伝うとき以外、次男の世話を頼んだことはほとんどない。ケア自体は尊い行為でも、「子どもは介護要員ではない。子どもらしい子ども時代を過ごしてほしい」と考えるからだ。
 もちろん子育てに正解はない。ただ、きょうだい児の葛藤が少しでも解消されたらと願う。「妊婦さんが学ぶ両親学級のように、きょうだい児の保護者教育が広がってほしい。障害児が通う学校や施設でも、『きょうだい児も大切』という認識が共有されるといい」。
<おかだ・みわこ> 東京都出身。次男が小学部に入る予定だった特別支援学校が遠距離通学になるため、10年前に川口市から都内へ転居した。ブレイブキッズの名称には「困難に対し、子どもたちに勇敢に立ち向かってほしい」との願いを込めた。活動の詳細はホームページから。問い合わせはメール(bravekids2009@gmail.com)へ。