遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

縮緬細工の背守り(1)

2019年01月17日 | 縮緬細工
縮緬細工の背守り(1)

今回は、再び、かわいい小物です。



 縮緬細工とは、着物に用いられるちりめんの布を使って作られた色々な細工物のことです。江戸時代後期から明治、大正にかけて、盛んに作られました。押絵にも、ちりめんを用いたものが多くみられます。

 太平洋戦争を機に、縮緬細工はすたれてしまいましたが、近年、その良さが見直され、女性の間で、縮緬細工作りを楽しむ人が増えています。

 故玩館には、古い縮緬細工が50点ほどあります。
 そのうち、8割が背守りと思われる品です。
 5~6cmの物が多く、大きくても10cm位までです。
 また、後ろに紐がついていて、掛けられるようになっているのも特徴です。






 上が女の子、下が男の子でしょうか。とてもかわいいですね。

 このような小物は、ボール紙を芯にして、縮緬の布を組み合わせて作られている物が多いのですが、綿入れの物、芯のない物などもあります。

 上の2つは、貝(ハマグリ)を母胎にした品で、平面的な物が多い縮緬細工の中では、かなり珍しい品だと思います。顔は、細筆で描かれ、頭の毛は黒糸です。作った女性の人柄がしのばれるような独特の表情がおもしろい。

 こういった品は、ひとつ、またひとつと求めていくのが楽しいですね。古い着物を扱う露店の片隅に忘れたように置かれているのを見つけたらしめたものです。値段もほどほど。早い者勝ち。

             


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隻眼の面は聖者

2019年01月12日 | 古面
隻眼の面は聖者



 この面は、私がもっている面のうちで、一番奇妙なシロモノです。右目がつぶれている。
 誰が、何のために作り、どこに保管されていたのでしょうか。

 紐穴があいているので、実際に顔に付けて使われていた物でしょう。胡粉はまだ大分残っています。形や大きさからして、祭礼で使われた可能性が高い。
 他の祭礼の面(先回の面)と較べてみると、その特異さがきわだちます。

 何かで読んだ記憶がかすかにあります。中世の日本では、障害をもった人間は異能者であり、時には、聖者として敬われていたと。
 朝鮮半島にも、そのような面を祀る風習があったそうです。
 実は、私も隻眼。だから、この面には思い入れがつよい。けれども、聖者には遠くおよびません。
 




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祭面、神楽面

2019年01月11日 | 古面
祭面、神楽面

 以下の面は、おそらく、村祭りや神楽で使われた面とおもわれます。時代は、江戸中期~明治初でしょう。
 故玩館には、このような面は、20枚ほどありますが、いずれも、長さが20cm前後で、人間の顔がほぼ隠れる大きさです。そして、軽い。長時間つけていても大丈夫です。もちろん、両眼が開いています(ごく一部、開いていない面も)。

 ひょっとこは、神楽や祭の人気仮面ですが、そのルーツは諸説あって、はっきりしません。口をとがらせて、息を吹くところから、火吹き男がなまってひょっとこになったというのが有力です。実際、東北地方では、竈面としても使われていました。
 また、口の歪みが小さく、まっすぐに吹いているのが古いタイプの面だともいわれていますが、どうでしょうか。
 狂言で用いられる嘯吹(うそふき)も、ひょっとこの一種と言えるでしょう。













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祈りの面:仏面と竈面

2019年01月10日 | 古面
仏面と竈面

 再び、古面です。
 わけのわからない物がほとんどの古面のなかで、仏面と竈面は用途がはっきりとしています。いずれも、宗教的色彩がつよい物です。

ネパールの巨大仏面

                  縦87cm、横54cm

 巨大な面です。とにかく大きい。私のもっている90枚の木彫面のうち、一番大きい。一本の木から彫られています。ゴロッと横になられた(私が誤って倒してしまった)時、戴冠の一部分が折れてしまいました。あわててボンドで補修。表面の彩色もボロボロ落ちてきます。
 誰が、何のために、どうやって日本まで運んできたのでしょうか。


行道面

                                          縦25cm、横21cm

 行道面は、大きな寺院の法要など重要な行事の時、僧侶などの行列者がかぶる仮面です。古くは、平安時代、東大寺で、のちに、法隆寺などで、行道が行われ、種々の行道面が用いられました。その中で、菩薩面は、最も一般的なものです。
 行道面が市場に出ることは極めてまれです。写真の菩薩面は、江戸時代後期ごろの物でしょうか。能面、祭面などに較べると、一回り大きいです。各寺院に保存されている、種々の行道面も大きな物がほとんどです。おそらく、すっぽりとかぶって、行列者の顔が完全に隠れるように作ってあるのでしょう。


小さな仏面

                         縦10cm、横6cm    

 これは手のひらにすっぽりおさまる、小さな仏面です。私のもっている面のなかでは一番小さな面です。庶民的な表情の面ですが、立派な仏面です。      
 裏面には、「元禄七戌甲年八月二八日之作 法橋康圓 西側中願」とあり、江戸中期の作であることがわかります。
 
竈面(かまどめん)

                縦74cm、横48cm

巨大な面です。一枚の巨大な板をくり抜いて彫られています。しかも、分厚く、とても重い。大人一人でどうにか抱えもつことができる重さです。
 竈面も宗教的色彩のつよい面です。北関東や東北地方には、台所の柱に掛けて、魔除け、火の用心を念じるために面を飾る風習がありました。設置される場所柄か、たいていは黒い。鉈、鑿の跡も生々しい、荒削りの面です。大工などが、仕事の傍らで彫り上げるといわれています。

モアイの竈面?

                                              縦28cm、よこ17cm          

  この面は、写真ではずいぶん大きく見えますが、実際は普通の大きさの面です。彫りや黒さから竈面としましたが、別の類の面かもしれません。哲学的な風貌は、モアイ像を連想させます。白隠描くところの菩薩にも似てますね。                              



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故玩館のトイレ

2019年01月09日 | 故玩館日記
故玩館のトイレ

 9年前、母屋を全面改修して、故玩館をオープンしました。リフォームの泣き笑いは、いずれまたブログで。


 さて、いよいよ、各部屋をどう使っていくかですが、まずは、インテリアでしょう。特に、女性には重要です。
 故玩館の場合、江戸以来の黒い梁と白い漆喰の効果が抜群で、インテリアの類は不要でした。
 むしろ、どっさりとある骨董、アンティークをどう配置し、ディスプレイするかが難しい。つい、あれもこれもと欲張り、ゴチャゴチャした部屋になってしまいます(現実にゴチャゴチャ(笑))。
 一階、二階の部屋は、品物で全部ふさがり、つれ合いによれば、「インテリアなど考える余地もない」というわけです。

西洋銅版画、ピアーズの出番
 そこで、空いている部屋を探したところ、唯一トイレがありました。2階の端っこに新たに作った小さなトイレです。設計の段階では、こんなところにトイレができるのだろうかと不安でした。そこが、設計士の腕のみせどころ。りっぱな小空間が完成しました。
 何よりもこのトイレは、つれ合いが設計士に細かく要望を出して出来上がったものです。
 で、おそるおそる聞いてみました。
 「ここに、銅版画を飾ってみたら?」
 意外にも、ふたつ返事でOK。
 早速、西洋銅版画の2婦人をこちらへ引っ越しさせ、ついでにピアーズも掛けました。
 その結果が、この写真です。
うーーーん、やっぱり、ゴチャゴチャしてしまった(笑)。
でも、このトイレ、女性には、好評です。













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