夜行列車に乗っていた。

私の座っている席の横の窓ガラスの上の方に耳だけが映っている。
その夢を見た時、気味が悪いとも何も思わなかった。
そしてそれだけ覚えていた。
夜行列車の外は暗い暗い深く広い無意識の世界。
きっと私は安全な領域の明るい列車に乗っていたから怖いと思わなかった。
日本の鎌倉時代初期のお坊さま、明恵上人が自ら耳を切り落している。
変な耳の夢と「夢の記録」を書き続けた明恵上人が結びついてしまった。
透明な生き方をした無欲高潔の人で私の好きなお坊さま。
夢の中に、無意識界の中に夜汽車で運ばれてゆく。