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光の森

~記憶のかなたの故郷~

朱い鳥

2024-07-07 11:29:40 | ポエム

       朱い鳥 火の鳥

       わたしの心を乗せて飛べ

       わたしの身の暗い淵より

       宇宙(そら)に向かって旅立ってゆけ

       遥かなる宇宙(そら)をめぐりながら

       情熱の炎に輝く時

       わたしの心もまた

       同じ炎の中に燃え立たせて

       固い殻が焼け去り

       わたしは解けて流れるものになれる

 

       朱い鳥 祈りの鳥

       沈黙に続く孤独の宇宙(そら)

       いつか星のきらめき聞こえてくる

       澄んだ響きで奏でる方へ

       翔けてゆけ

       恐ろしさに引き入れる茫漠とした宇宙(そら)

       情熱の炎に照らされて

       やがていくつもの星座が浮かび上がり

       星座の中に忘れられ凍りついていた

       神話が解けて語り始められる

 

       朱い鳥 生命(いのち)の鳥

       力強い羽ばたきで

       わたしを神話の中に吹き込んで

       人生がそこから生まれては還ってくる

       人々の感情(おもい)の原型が宿っている

       同じ感情(おもい)に触れて

       わたしは解けて流れてゆく

       永遠(とわ)に結ばれ

       宇宙(そら)に鏤められてような

       無数の生命(いのち)に流れてゆく

 

 


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銀色の雨

2020-07-13 20:00:52 | ポエム

         

 

       リズムが形になって現れ

       絶え間なく天から降りてくる

       無量に降りそそぐ雨は連なり重なり

       銀色のベールを引いたように世界を閉じる

       より広がりゆく次元の空間へと開かれるために

 

       厚い雲が太陽を隠しても

       ひとつひとつの雫の中には太陽の光が宿り

       大地にたどり着いた雫から

       殻がはじけたように光が飛び散り

       天と地の互いを映し合う銀色の空間になる

 

                  激しいリズムは心を打ち汚れを洗い魂をゆさぶり続ける

                  身体に波たつ鼓動が雨のリズムに溶けてゆき

                  心の中に眠っていたメロディが流れ出す

                  それは生の軌道が織り成す存在のうた

 

                  やがてリズムは静かにゆらめき

                  心の中を銀色の空間に変えてゆく

                  何をも隔てることのない世界が生まれ

                  存在の美しいハーモニーに満ちて

                  生と死の互いを映し合う銀色の空間になる

 

             

        

       


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あなたとミューズ達

2014-06-16 20:38:29 | ポエム

 

                    


          楽しいおしゃべりと笑い声

          美しい音楽と満足げなため息

          わたしは見てしまったの

          クラヴィーアを弾くあなたと 九人のミューズ達


          あなたの澄んだ音色の 風のように流れる音楽

          損なわないように気遣いつつも

          そっと クラヴィーアに手を添えてみたり

          小声で合わせて歌ったり

          ミューズ達はみんな 愛おしそうにあなたを見つめている


          ある時はミューズ達と踊るあなた

          九人のミューズ達がお相手だったから

          ひとりのあなたを取り合いっこ


          ミューズ達だって綺麗な男の子が大好きなのよ

          いつでも 彼女達はその天上の恵みを

          男の子にあげてしまうのだから


          あなたの無邪気にミューズ達も 羽目をはずし気味

          はしゃぎ過ぎても あなたはステップを間違わない

          微笑むあなたは ひとりずつ順番に

          ミューズ達の手を取って 廻りながら踊って

 

          廻る度に あなたの表情は変わるの

          ミューズ達も驚くほどに

          あなたの美しさは もっと深く豊かに輝く


  

                


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白い天使

2013-09-02 19:09:42 | ポエム
            

             白い天使は微笑みながら隠し持っていた矢を
             わたしの胸深くに強く一突き振り降ろします
                         
             彼の鼓動がわたしの胸深くに伝わって来ます
             彼のうたが身体中に響きます
             彼の優しいうたは甘美な陶酔

             けれども天使には翼があります
             わたしは地上に残る身
             彼を追い求めることは出来ない
             翼を見つめていると彼への想いが苦しみに変わります

             彼が世界から去ったらわたしは生きられない 
             萎えてしまうでしょう
             地上の身でありながら天上のものに憧れる魂を埋め込まれて
             生きるものの哀れ・・・・・・

             天使の魂は歌で出来ているから
             m i s e r e r e   n o b i s(われらをあわれみたまえ)
             わたしは祈りのうたを歌う
             うたの中にいつまでも天使がいますように
  
      
  

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夏の終わり~蝉~

2013-08-24 20:10:46 | ポエム
        力の限りに羽を振動させて
        その音を空間いっぱいに響かせている
        それは高い空と暑い日差しと共に夏そのもの

        いくつもの夏の想い出の
        風景の奥に存在している          
                    
        夏の時に割れ目が出来る
        樹に止まっていた蝉がそこから落下する
        地の上の草陰に時も落ちる

              

                  その時の中でも羽を振動させているが
                  もう夏の響きはしない

                  草に絡まるガサガサとする音が
                  とぎれとぎれになり
                  やがてその音もなくなってしまう
                  そして草陰に落ちた時も消える

                  静寂が空間になり
                  分で隔てられていたものも消える
                  わたしも夏から引き離され
                  落ちた時の中でもがく

                  蝉は知っているのだろうか
                  時が消えた静寂な光を

   


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