真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

「アマゾンおケイ」の肖像 小川和久 2022年9月

2023-03-21 | 読書-歴史

「アマゾンおケイ」の肖像 | 集英社インターナショナル 公式サイト

激動の「昭和」という時代を、凛としてたくましく駈けぬけた自立した女性=「母」の生きざまを描く傑作ノンフィクション。ブラジル移民、上海でのアメリカ外交人との恋、女...

集英社インターナショナル 公式サイト

 


第1部 地の果てへ 十三歳の船出
第2部 上海 恋と戦火と幸運の女神
第3部 大恐慌に起つ 小川組の印半纏
第4部 戦雲
第5部 斜陽
第6部 私はハミルトン夫人だった

これを詳細に展開すると
第Ⅰ部 地の果てへ 十三歳の船出 
 第1章 青天の霹靂
 第2章 ノコギリ山のファゼンダ
 第3章 青春のサンパウロ
 第4章 金と銀のトウシューズ

第Ⅱ部 上海 恋と戦火と幸運の女神
 第5章 上海航路
 第6章 アメリカの副領事
 第7章 幸運

第Ⅲ部 大恐慌に起つ 小川組の印半纏
 第8章 渋谷鉢山町四十四番地
 第9章 私はこうして成功した

第Ⅳ部 戦雲
 第10章 自死を思う
 第11章 憲兵政治の魔の手

第Ⅴ部 斜陽
 第12章 進駐軍専用列車
 第13章 出版社PREVIEW
 第14章 ラストボロフ事件

第Ⅵ部 私はハミルトン夫人だった
 第15章 最後の挑戦
 第16章 行商人、山道を行く

エピローグ
取材ノート 母の生涯をたどる旅 

いやもう恐れ入りやした。
ブラジル移民関係者も絶賛。

『「アマゾンおケイ」の肖像』  小川 和久 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

寄稿=小川和久著『「アマゾンおケイ」の肖像』=サンパウロ市在住  大久保純子 - 南米の鼓動をキャッチ! ブラジル日報

東 えりかさん評
『「アマゾンおケイ」の肖像』2022年No.1評伝!20世紀を駆け抜けた痛快な女傑の物語 - HONZ

好調な時分は、常に適切な判断をしてきているのだよね。
何を学べば将来の自分に有用であるか、きちんと判断できる。
まずタイピング(同時に英文記事の構成と発想を身に付ける)を覚えることで手に職を付けて、次に(ダンスを習って)足にも職を付けたのよ、と息子に語った。
どの方面の人脈を開拓維持しておくことが商売に役立つ有益な情報をもたらし、自分の判断をより良いものにしうるか、誤らない。

敗戦ですべて失う。
その中でうまく立ち回った人たちもいたわけだが、彼らはそれを語らない・・・。

カタルンカタラン・・・。
なんのこっちゃ。

閑話休題
イェール大学ジョイス資料、これか。
Collection: Robert P. Joyce papers | Archives at Yale

Foreign Relations of the United States, 1950–1955, The
Intelligence Community, 1950–1955 - Office of the Historian

Joyce, Robert P., Office of Special Operations, Central Intelligence Group, Liaison to the Department of State from 1946 to June 1947; Political Adviser on Trieste from July 1, 1947 to October 27, 1948; Senior Consultant Representing the Secretary of State, Office of Policy Coordination from September 1948; Policy Planning Staff, Department of State from December 23, 1948 to December 22, 1952; Special Assistant, Bureau of Intelligence and Research from October 7, 1957 to April 19, 1959

List of OSS Code Numbers - Powerbase
257 Robert P. Joyce (also 1090)

1984年ジョイス氏逝去時主要紙報道
washingtonpost
Robert P. Joyce, Foreign Service Ex-Officer, Dies


NYT

Robert P. Joyce Dead; Was in Foreign Service (Published 1984)

 


映画化とかドラマ化の話はあるのかないのか?
エピソードつまみ食いのがっかりドラマになりそうな気もしつつ、期待を表明しておく。

なんのこっちゃという読者のためのサービス

エマ・ハミルトン - Wikipedia

 
かすかに覚えておった。
ネルソンの戦死時軍服も見たことあったし。

そういえば、ナマ小川さんのプレゼンを拝聴したことがあったっけ。
著者プロフィール中の「橋本内閣における普天間基地返還交渉、小渕内閣における情報収集衛星とドクター・ヘリの導入などで中心的な役割を果たす。」の部分だわな。
ドクターヘリなど影も形もなかった当時、経緯や当方中心メンバーなどすっかり忘れたが、導入の必要性を力説していかれた。

今思うと、「財界にも理解を広めるためにと小川氏が主要各社トップに説明して回った際、弊社(えらいヒトが財界活動を…)にも来られた。」のだろう。
その折、拝聴側のお供の末席に連なったという感じだったものかと思われる。
「ぜひ実現させるべきだが、いったい誰と誰をその気にさせればよいのやら」と思った(先輩ともそう話した)記憶がある。

その後、見事に実現して、地域の救急医療に欠かせない存在になっているし、テレビドラマにもなるし、ということで、凄い。
(けれども、誰か政治家の功績として記録されていたりするのかね。え?某連立与党のおかげですと?なにそれ。)

吉例❕重箱の隅ということでW
(版元のチェック力の問題。「この部分、大丈夫でしょうか?」と著者に確認すべきもの。してないだろ。)
●p199: 書類の決済じゃなくて決裁でしょう。2か所。

●p239:マレー沖海戦 - Wikipediaで英戦艦と巡洋戦艦を「常識を覆す水平爆撃によってわずか二時間で撃沈」とは?

実際は、一式陸攻と九六式陸攻が水平爆撃と雷撃で仕留めた~航行中の戦艦を航空機だけで撃沈した世界初の事例。
急降下爆撃機は不使用なのだが、雷撃は水平爆撃に含めないでしょ。
水平爆撃 - Wikipedia

航空攻撃だけで(真珠湾のような停泊係留中ではなくて、外洋を走っている)英戦艦と巡洋戦艦を仕留めたことで世界を驚かせ、チャーチルを大いに嘆かせた。
水平爆撃だけでは無理でしょ、さすがに。
Wikipediaによると、命中弾は
・日本側資料
 プリンス・オブ・ウェールズ:魚雷7本、爆弾2発
 レパルス:魚雷13本、爆弾1発
・イギリス側資料
 プリンス・オブ・ウェールズ:魚雷6本、爆弾1発
 レパルス:魚雷5本、爆弾1発
この内訳から明らか。
日英で認識が異なるが、いずれにしても爆弾は1~2発しか命中弾がなく、ほぼ魚雷による戦果。

●p251:ジョイスがカイロに派遣されたくだりで、軍の輸送機で、「ワシントン、プエルトリコ、バーレーン、ダカール、マラケシュ、チュニスを経由し」とは?
どうしてペルシャ湾岸のバーレーンが挟まってしまうの?
世界地図(地球儀の方が良いが)上で辿ってみるチェックはしないの?
「元の資料にそう書いてあったんだもん」なのかね。

●p271:1945/9/2の戦艦ミズーリ艦上の降伏文書調印式に臨んだ「日本の全権は松葉杖をついた重光葵」とは?
杖って英語でなんて言うの? - DMM英会話なんてuKnow?
「Cane は握る先が曲がっている杖のイメージがあります。」だそうなので、caneだわね。
松葉杖crutchとは脇あてがつきその下にグリップがある杖であり、9/2に重光が用いていたのとは異なる。

松葉杖の使い方と合わせ方 | 介護用品の通販・販売店【品揃え日本最大級】- 快適空間スクリオ
重光はcaneの杖の時と松葉杖使用の時の両方あったようで、松葉杖使用時の写真もある重光葵 | ToMuCo - Tokyo Museum Collectionのだが、
ミズーリに赴いた際は握る先が曲がっている杖であることは写真から明らか。
昭和天皇も感心、隻脚の重光葵にマッカーサー側近が絶妙の気遣い ハワイ沖で散ったマッカーサー側近が見た日本【後編】 | JBpress (ジェイビープレス)

昭和天皇も感心、隻脚の重光葵にマッカーサー側近が絶妙の気遣い ハワイ沖で散ったマッカーサー側近が見た日本【後編】 | JBpress (ジェイビープレス)

マッカーサーの側近として終戦とともに日本にやってきたアメリカ陸軍のデイビッド・ラール大佐。ミズーリ号甲板で行われた降伏文書調印の場にも立ち会った。日本の全権・重...

JBpress(日本ビジネスプレス)

 


これねぇ。
けちょんけちょんにこき下ろした著書の出版が2020/3で、その相手のコロナ死が2020/4。
現代史の資料として「交渉の内幕」を記録に残すことは関係者の責務-『岡本行夫 現場主義を貫いた外交官』(五百旗頭真/伊藤元重/薬師寺克行、朝日文庫、2020)と『フテンマ戦記-基地返還が迷走し続ける本当の理由』(小川和久、文藝春秋、2020)

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