真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

君は「オトポール事件」を知っていたか-早坂隆『指揮官の決断―満州とアッツの将軍 樋口季一郎』

2010-08-26 | 読書-歴史
自著を語る >もう一つのユダヤ人救出劇/早坂 隆さん
"「オトポール事件の立役者」は、「日本初の玉砕戦の指揮官」という汚名をかぶることとなった。"

文春新書
指揮官の決断―満州とアッツの将軍 樋口季一郎
早坂 隆【著】
文藝春秋
(2010/06/20 出版)

通説(というか、諸説というか、最初にどこかに書かれると次々に無検証に拡散というか・・・)を丹念に検証していく著者の姿勢に敬服。
ライターの基本ではあるのだが、そのお手本のよう。

取材対象者の信頼を得るのも分かる。
理屈は平時に作られる・・・などのちょっとした警句も素敵。

子には言わないことも孫には話したりすることがある、という体験的法則も興味深い。
そういえば、南面堂も祖父や祖母から、「お前には言うけど」みたいに聞いた話があったっけ。

2万人のユダヤ難民が一度に押し寄せて云々・・・と見てきたように記載するサイトも、今回ちょいと見ただけで多数あった(笑)。
列車一編成に何人乗れると思っているの?とばかり検証のメスを加える。

「2万人」でないからといって、樋口の功績を低く見る等の意図はないと強調しつつ、いい加減な俗説に尾鰭がついて流布することは我慢できない感じ?
わかるわかる。

爪の垢、だと嫌がられるかもしれないのでそれを煎じたお茶(同じか・・)を通販で提供するように。
なんのこっちゃ。

樋口 季一郎(ひぐち きいちろう、1888年8月20日 - 1970年10月11日)は、日本の陸軍軍人

陸軍中将樋口季一郎回想録 (1999/04/30 出版)

なんと、樋口の回想録も著者が原文と照合すると謎の修正が入っていたりして、微妙な問題が発覚する。

喜多圭介さん調べ
樋口季一郎の誤伝

(著者に取材を受けたという)郷一成さん
"父がよく言っていたのですが「樋口の伯父さんは右翼に人気がある」と"

NHKスペシャル
玉砕 隠された真実

戦争を語り継ぐ  玉 砕 ~隠された真実~

「援軍を送るから頑張れ」→「送れないことになった。ごめんね」
で多数を見殺しにせざるを得ないことになった際の苦渋はいかばかりか。

弁理士・内藤俊太さんによるご紹介

「終らざる夏」の紹介
史実に基いた作り話なんだけどね。
浅田氏は「生存者へのインタビューなどは一切実施しなかった。私は嘘つきだ」と(笑)。

<2017/8追記、てか追リンク>
ユダヤ人を救った樋口季一郎元陸軍中将の孫で明治学院大学の樋口隆一名誉教授が、祖父の思い出を語る

CatNAさんのご指摘
ほんと。
取材費は豊富だが掘り下げは学園祭レベル、では困るのであって…。

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