積ん読の部屋♪

本棚に積ん読な本を読了したらばの備忘録。

宮部みゆき『初ものがたり』あらすじと感想

2017-12-01 11:15:02 | 紙の書籍
新潮文庫 宮部みゆき『初ものがたり』を読了しました。

あらすじと感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【目次】
お勢殺し
白魚の目
鰹千両
太郎柿次郎柿
凍る月
遺恨の桜
文庫版のためのあとがき


【あらすじ】
江戸は深川本所、一帯をあずかる「回向院の旦那」と呼ばれる岡っ引きの茂七が関わった事件が描かれている。
深川富岡橋のたもとで稲荷寿司の屋台を出している奇妙な親父。この謎が多い男もキーパーソンとして描かれている。


【感想】
〈お勢殺し〉
大柄で色黒のお勢という醤油の担ぎ売りが裸の水死体で見つかる。下手人はつき合いのあった音二郎だった。
一途な女心が仇となった哀しい話。

〈白魚の目〉
冬木町の寺裏にある小さな稲荷で五人の子供が倒れていた。稲荷に供えられていた稲荷寿司に毒が仕込まれていたのだ。
きれいな表現でなくてなんだが、この話が一番胸糞悪い。状況と子供たちの心情を想像するだけで胸が苦しくなる。
サイコパスという言葉が浮かんだ…。

〈鰹千両〉
棒手振りの魚屋 角次郎に持ちかけられたのは、鰹を千両で売ってくれという妙な話。言い出したのは大店の呉服屋 伊勢屋の主人。
実は本当に欲しいのは鰹ではなく、角次郎の娘のおはるだった。
後味がものすごく悪い話の後で、ほっとできる話。昔懐かしい時代劇の人情噺のよう。

〈太郎柿次郎柿〉
日道さまと呼ばれている拝み屋の子供の話。現代でもありそうな、いかさま霊感商法。
たちが悪いのはそれを強要しているのが親だというところ。
最後に兄弟間の殺人も絡む。こちらも後味が悪い。

〈凍る月〉
下酒問屋河内屋の主人松太郎が、到来物の新巻鮭一尾を盗まれたので下手人を探して欲しいとやってくる。松太郎が本当に気にかけていたのは新巻鮭などではなく、いなくなった女中のおさとだった。
お店者の因果というのか、切ないようなやりきれないような気持ちにさせられる。

〈遺恨の桜〉
霊能力者の日道が襲われて大怪我を負う。
茂七のところへお夏という女がいい仲の清一が行方不明だ、殺されて埋められているとやってくる。このお夏も日道さまにみてもらっていたのだ。肝心の清一は生きていたのだが‥。
稲荷寿司屋の奇妙な親父の素性をなんとなく匂わせ、続編があるような終り方になっている。
作者があとがきで諸々の事情で続編が出ていない説明をしていた。
あとがきの日付が平成十一年九月吉日となっているので、もう出ているのかどうなのか?

短編集の体なのでさくっと読めるのだが、話によっては後味が非常によろしくないのでご注意を。
 

【余談】
宮部みゆきの時代ものを立て続けに読んでいる。
まだ数冊手元にあるので、これからもさくさくと読むつもり♪

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 宮部みゆき『ぼんくら 下』... | トップ | 恩田陸『夜のピクニック』の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

紙の書籍」カテゴリの最新記事