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泉鏡花『外科室・海城発電 他五篇』あらすじと感想

2016-09-18 17:28:27 | 紙の書籍
岩波文庫 泉鏡花『外科室・海城発電 他五篇』を読了しました。

あらすじと感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【目次】
義血侠血
夜行巡査
外科医
琵琶湖
海城発電
化銀杏
凱旋祭
解説(川村二郎)
初出一覧


【あらすじ】
一度目をかわしただけで恋におちた学生と少女が、歳月をへだてて、それぞれ外科医師と患者の貴婦人として手術室の中で再会し、愛に殉ずる。鏡花文学の原型をもっともよく示すこの「外科室」をはじめとする初期の代表作集。


【感想】
どこかで泉鏡花の『外科室』と川端康成の『片腕』が、エロティックで美しいというような書評を読んだ覚えがあり読んでみた。書評を書いたのは作家(名前は失念)だったと思う。

どれも古い作品なので文体と字体が読みづらかった。これは初出が明治27年~30年ということを考えれば、しかたがないと思う。全体に流れる時代の空気感と人生観は、現代ではは疑問に思うことも多いが、生きていくうえで感じる苦しさややりきれなさは同じなのではないだろうか?
読みづらいな、、と思ったとき、「これは昼ドラだ」と思い直してみると、不思議とするすると読めた。荒唐無稽なストーリーや若く美しいヒロインの苦難は、昼ドラなら納得できるというもの。

表題作の『外科室』は荒唐無稽なストーリーではあるが、昼ドラならOK!だし、漫画なら木原敏江さんや大和和紀さんの明治ロマネスクものだと思えなくもない。前述のとおりエロティックで美しいと感じた作品。
貴船伯爵夫人は麻酔剤の作用で胸に秘めた想いを、無意識のうちに吐露してしまうのではないかと恐れ、手術に際しても麻酔なしで行って欲しいと懇願する。この胸に秘めた想いとは、執刀医の高峰が昔まだ医学生だった頃、一度見ただけで抱いた恋心のことだったのだ。
これはもう明治ロマネスクものの漫画だ。木原敏江先生の作品には似たような切ないお話が幾つもあるし。
麻酔で思い出したのだが、映画版『空中庭園』で絵理子の母が秘密を暴露してしまうのを恐れて、手術の麻酔を嫌がるシーンがあった。どうも本気でそう信じていたらしい…。昔からそう信じられていたのだろうか?


【余談】
明治・大正期の古い作品を読むときに「読みづらいなぁ、、」と感じたときには、昼ドラや漫画などに脳内変換すると、不思議とするする読めるのでこの方式はオススメ♪
お偉い専門家の方からはお叱りを受けそうだけど、読むのを止めて本を放り出すよりはず~っとよいはず。


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