まちづくりに関心のある方なら、『地元学』をご存知の方も多いでしょう。
これに近いもので北米に”Social assets”や”Community assets”(地域における資産、もっと平易な意味で「役に立つモノやコト」)を発掘するフィールドワークが普及しています。『地元学』との共通点は、ともに減点法(地域に足りないモノに焦点をあてる手法)ではなく、加点法(既存の地域財に焦点をあてる手法)をベースにしているということです。
地域活性化の道具箱的存在のwebサイト”Community ToolBox”では、”Community assets”を非常に広く定義しています。ここで地元学と大きく違う点として注目したいのは、”モノ”や”コト”だけでなく、”ヒト”を資産として大きく位置付けていることにあります(下記参照)。
これまで”まちづくりの成功事例”として知られる地域では、一部のカリスマ的な人物に注目が集中するものの、実際には名も知られずに黙々と汗をかく数多くの人々の努力なくして語ることはできません。そして、地域に存在するかけがえのない人材こそが、地域の個性を決定づける大きな要因に他なりません。
アメリカでは、”Community assets”(地域資産のストックとフローやネットワークを、web上の地図(webGIS)に公開している団体もあります。
”Community assets”をインターネットで日本語検索すると、ほとんど検出できませんが、北米ではその理論を含め、多くの蓄積があるようです。
この記事の最後に、役に立ちそうなワークブックをリンクしておきます。地元学ともども、できるだけ多くの方に知って欲しい取組みです。
Community assetsとは何か?(Community ToolBoxのHPより)
http://ctb.ku.edu/tools/en/sub_section_main_1043.htm
(以下、ページの一部を抜粋)
・それは人であるかもしれません--例えば、どんな車も修理できる技師だったり、私設保育園を構成している家にばかりいるお母さんやお父さんかもしれません。あるいは、ディスカッション・グループを始める教会の信者や高校の運動選手、コーチ、チアリーダー、はたまたスタンドのファン。これらはすべてCommunity assetsです。
・それは、建造物や場所であるかもしれません--学校、病院、教会、図書館、レクリエーションセンター、あるいは社交的なクラブなど。それは、町の目印かシンボルであるかもしれません。また、共同体ホスピスを収容でき、2階には地域集会に適した部屋を持つ空きビルであるかもしれませんし、既存の公園や沼地、空き地などの公共の空間であるかもしれません。
・それは職を与え、地域経済を支える商業であるかもしれません。
・あなた自身もCommunity assetsです。そして、あなたの友人、あなたが知っている人々、さらには、あなたがまだ知らない人々もそうです。あなたが通りを歩く時、Community assetsはあなたの周りのいたるところにころがっています。これは世の中を見る上で非常に励みになる有望な方法です。
・そして、実際本当の意味で、コミュニティに住むあらゆる人が(少なくとも潜在的に、そして恐らく本当に)Community assetsです。これは朗報です。私たちだけが資産の何たるかを知り、それらを活用することができるなら、コミュニティの全ての人が、地域の改善のための力になりうるということを示しているからです。
Social assetsとAsset Mapについて(Journey through the Calumet/Community in Motionより)
http://www.fieldmuseum.org/calumet/assetmap.html
Asset Mappingとは何か?(Social Design Notesより)
http://www.backspace.com/notes/2004/06/23/x.html
Asset Mapping Handbook(Canadian Rural Partnershipより)
http://www.rural.gc.ca/conference/documents/mapping_e.phtml
Mapping Community Assets Workbook(by Diane Dorfman, Northwest Regional Educational Laboratory)
http://www.nwrel.org/ruraled/publications/com_mapping.pdf