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ボルタ電池

2012年02月27日 23時01分13秒 | 化学のお話
希硫酸の中に亜鉛板と銅板を離して入れ、亜鉛板と銅板を導線をつなぐと電流が流れる装置をボルタ電池といいます。

※イタリアのボルタという人が発明したのでそう呼ばれています。
 ちなみにボルタの名前は、電圧の単位(V:ボルト)として残っています。


この電池では、イオン化傾向の大きい亜鉛から、イオン化傾向の小さい銅の方に電子が流れます(同時に亜鉛が亜鉛イオン(Zn2+)となって溶液中に溶け出します)。

ただ、実際に電子を受け取るのは希硫酸中の水素イオン(H+)であり、銅板上で電子を受け取って水素(H2)となります(そのため銅板の方は変化しません)。


ただし、ずっと使用していると、だんだんと起電力が低下してきます。

最初のうちは、起電力が約1.1Vだったものが、最終的には0.4~0.5Vくらいになってしまいます。

※この起電力が低下する現象を、電池の分極と呼んでいます。


その理由としては、

・発生した水素が銅板を覆ってしまうことで、水素イオンが電子を受け取りにくくなる

・水素で覆われた銅板上で、一部の水素が電子を出すという逆反応が生じるため、電子の流れが妨げられる

・亜鉛板付近の亜鉛イオンの濃度が高くなって、亜鉛イオンとして溶けにくくなる

ことが挙げられます。



なお、ボルタ電池の発明により、新たな元素がいくつか発見されました。

ナトリウムやカリウムの単体は、それらの水酸化物を溶融させ、(少し規模を大きくした)ボルタ電池を用いて電気分解することにより初めて得られました。


※ひとつの科学技術的な発展が、さらに別の分野へと波及していく一例と言えますね。




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