晴れときどき化学、ところにより雑想

もしかしたら何かの役に立つかもしれない化学のお話(と、よしなしごと)

ダニエル電池

2012年02月28日 22時05分06秒 | 化学のお話
ダニエル電池は、ボルタ電池と同じく亜鉛板と銅板を使いますが、

亜鉛板を(薄い)硫酸亜鉛(ZnSO4)水溶液に浸し、銅板を(濃い)硫酸銅(II)水溶液(CuSO4)に浸した上で、2つの水溶液が直接混ざり合わないように素焼き板で仕切った構造の電池です。


亜鉛が亜鉛イオンとして水溶液に溶け出すと同時に電子が出ていくところはボルタ電池と同じですが、

電子を受け取るのは水素イオンではなく、硫酸銅水溶液中の銅イオンになります。

そして電子を受け取った銅イオンは金属銅として銅板上に析出することになります。


素焼き板の役割は、2種類の溶液が直接混ざらないようにするためですが、

素焼き板には微小な穴があいているため、水溶液中のイオンの一部はそこを通り抜けることができます。

そしてイオンが移動できることで電気回路がつながるため、電流が流れることになります。

※もしイオンが移動できないような物質で仕切りをしてしまうと、電流は流れなくなってしまいます。


なお、ダニエル電池の起電力は、亜鉛と銅を使用しているため、ボルタ電池と同じ約1.1Vです。

ただし、ボルタ電池のように水素は発生しないので、起電力の低下は起きにくくなっています。

(もちろん長時間使用すれば、2つの水溶液中のイオンが素焼き板を通って拡散していくので電圧は下がっていきます)。


ダニエル電池は、ボルタ電池の改良版と言えます。

特に危険な物質を扱うわけでもないですし、見た目にもわかりやすいので実験教材として好都合かもしれません。




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